【アイテム紹介】ヤスリ

研磨とヤスリ

“研磨”という作業はプラモデルを作る過程において大きな割合を占めています。

ランナーからパーツを切り離した後、ゲート跡を削る作業があるほか、合わせ目を消す工程でもはみ出た接着剤を削る作業が発生します。また、これに加えデカールを貼り付けた後にトップコートと呼ばれる透明な保護用の塗膜を全体にかけた後に、目の細かい布やスポンジなどでデカールと本体の段差を削り違和感を無くす表面処理もあります。

これらの研磨作業をしっかりと行うことで完成度は段違いに変わります。正直、表面処理は苦手な分野なので作業のたびに課題を感じています。

この研磨作業の主役となるのがヤスリですが、材質や形状で色々な種類があります。ここではヤスリについて紹介してみたいと思います。

金ヤスリ

ヤスリと聞くとほとんどの人がパッと思いつくのが美術や技術の授業などで目にした金属製の細長いヤスリではないでしょうか。

これは金ヤスリ(かなヤスリ)と呼ばれ、木工や金工で主に使用される研削用のヤスリです。

金属製で切削力が強く硬い素材も削れるため、プラモデルに使う際は削りすぎに注意が必要です。またのこぎりのように削る方向が定められているため、ところどころで使い勝手の悪さを感じることもあると思います。前後させるのではなく、押して削る感覚を意識しましょう。

パテや瞬間接着剤を固めた個所などを金ヤスリで粗削りしてから紙ヤスリで仕上げると効率が良いです。

目の粗さや断面形状などにバリエーションがあります。小型の平ヤスリなどは使用頻度が高くバランスよく使えるため初めたての頃に揃えておきたいアイテムです。

これとはほかに個人的にオススメしたいのがドレッサー目立てヤスリです。

ドレッサーはDIYなどで使用する持ち手が付いたヤスリです。木工などで使用する造りのため、プラスチック素材でメインに使用するには削れ過ぎてしまいますが、大きな範囲を削りたいときに使うときに便利です。

目立てヤスリは本来、のこぎりの歯などを研ぐときに使うヤスリです。立てて優しく削ることでモールドや入り組んだ場所にもヤスリをかけることができます。目が詰まったときは歯ブラシなどで落としましょう。

サンドペーパー (紙ヤスリ)

プラモデルを作る際、私が主力として使っているのがサンドペーパーです。単にペーパーと呼んだり、紙ヤスリと呼んだりもしますね。

使うときに好きな大きさに切り出して使います。消耗品ですが粗削りから仕上げまで幅広い目の粗さが用意されており、使い勝手が非常に良いのがポイントです。後述する水研ぎができることも大きな利点です。

紙ヤスリには番手が記載されています。番号が低いほど目が粗く、高いほど目が細かいということを覚えておきましょう。数字は細かく刻まれているわけではなく、400番の次は600番、800番の次は1000番で、次は1500番…といったように間をすっ飛ばします。

使う番手はキットの縮尺や完成品の大きさで変わります。カーモデルなどでは表面をツヤツヤに仕上げる場合、2000番や3000番以上の非常に目が細かいものを使います。

私の場合、ガンプラですと400番から1000番くらいをメインに使っています。
合わせ目を消す工程では400番で大きく均して、600番、800番と番目を上げて表面の整えて、1000番で仕上げると言った感じです。スケールモデルならこの後に1500番か2000番を部分的に使うような感じです。個人的に消耗率が一番高いのが400番です。

オススメの紙やすり

オススメしたいアイテムとしてはタミヤから発売されている「フィニッシングペーパー(細目セット)」です。内容はP400番×2枚、P600番×1枚、P1000番×2枚の5枚セットになっています。手ごろな値段ながら使用頻度の多い400番と仕上げ用の1000番が入っている点がポイント高いですね。

それ以降は必要に応じて欲しい番目を買い足していくと無駄がないように思います。

スポンジヤスリ

スポンジヤスリは紙ヤスリの裏にスポンジシートを貼り付けた構造をしています。紙ヤスリは紙の硬さによって削る対象物の表面に沿わせることが難しいのですが、スポンジヤスリは台紙となる部分がスポンジとなっています。このため追従性が良く、曲面の表面処理に向いています。

使う分だけを切り取って使用する点や水研ぎができる点など紙ヤスリと同じ感覚で使うことができます。

スポンジヤスリは各社から発売されており、スポンジの柔らかさやヤスリ表面の持ちの良さなどに違いがあるため色々試してみるのも良いでしょう。紙ヤスリと比べて値段が割高なので、紙ヤスリを主軸にし、スポンジヤスリはサブとして数種類用意しておくと便利です。

当て木について

スポンジヤスリは先述の通り、曲面の表面処理に向いていると述べました。すなわち、平面の表面処理では基本的に金ヤスリか紙ヤスリを使用するのですが、紙ヤスリで平面の表面処理をしようとすると表面が歪んだりすることがあります。

それはスポンジヤスリほどではないにせよ、紙ヤスリも柔らかいため曲面への追従性があるからです。紙ヤスリを持つ指の形状に沿ってしまったり、指の微妙な力の入れ加減で削り方が変わってくるのです。

このため、紙ヤスリで平面を削るときは背面に硬く平らな板などを張り付けます。これを当て木と呼びます。貼り付けるほどではなくても、紙ヤスリがズレずに固定できれば巻くだけでもOKです。

当て木となるものは平らでそこそこ硬ければ何でもいいと思いますが、多いのはプラ板やシャーペンの芯を入れていたケースなどです。自分の使用感に合った手ごろなものを見つけましょう。私はもっぱらプラ板の端材に巻き付けて使ってます。

水研ぎについて

紙ヤスリとスポンジヤスリのメリットとして水研ぎができることは大きいです。
削る作業ではどうしても削りカスが出て、服や部屋が汚れがちですが、水研ぎで削りカスが散ることを抑えることができます(削りカスが出ないわけではありません)。

やり方は簡単で、紙ヤスリを濡らして削るだけです。水を適宜使用するので100均に売られている灰皿などを使うと便利です。

戦闘機の模型などは完成したコクピットを胴体に挟み込んだ後に、胴体部を削ることもあるので、その際は完成した内部構造に影響がないように気を付けて作業しましょう。

最後に

このほかにも電動リューターやコンパウンドなど、研磨にはいろいろな道具が存在します。今後、それらのアイテムや使用法についても触れていきたいと思います。
今回紹介したのは主に使用する3種類のヤスリでしたが、それぞれのジャンルやメーカーごとに使用感の違いがあります。色々なアイテムを試して自分の好みや感覚に合った使いやすいアイテムを見つけるのも一つの醍醐味だと思います。