模型製作に慣れてくると小さな隙間を埋める補修のほかにも、少し規模の大きい修正や改造などを考えるようになると思います。この際にパテを有効に使えるようになると作業が捗ります。
パテには様々な性質のものがあり、それぞれに適した用途がありますので、本記事ではよく使用されるパテをいくつか紹介していきます。
ラッカーパテ
プラパテとも呼ばれます。タミヤパテに代表されるパテです。チューブに収められており、硬化剤などと混ぜる必要がないため使い勝手に優れます。
パテに溶剤を含んでいてプラスチックへの食いつきが良いです。含まれている溶剤が揮発することで硬化する仕組みのため、薄く盛り付けて乾燥させて使います。小さい隙間や薄いヒケを埋める際に役立ちます。
厚く盛ると乾燥に時間がかかるほか、揮発することで体積が減るため(肉ヤセと言います)造形作業には向きません。
溶きパテ
ラッカーパテはラッカー系の溶剤を混ぜることでパテの粘度を調節することができます。これを溶きパテと呼びます。
小さい隙間に入り込みやすくしたり揮発を促進させることができるほか、これを表面全体に塗り、筆などで表面を軽く叩いて乾燥させると金属の鋳造表現を再現させるなどの方法もあります。
ポリエステルパテ
通称、ポリパテ。
主剤に対し、硬化剤をわずかに混ぜると次第に硬化が始まります。硬化前は粘度が低いため造形作業はできません。
大きく盛り付け、硬化後に切削して形を整えていきます。硬化時間が数十分と早いのですが、内部に気泡が発生しやすいため、整形後の表面処理は必須です。また、作業時の臭いが強く、作業時に換気が必要です。
硬化時間の短さと切削性の良さからフィギュアの原型などにも使われます。
エポキシパテ
エポキシパテは主剤と硬化剤を1:1の比率で混ぜ合わせて使います。
ポリパテ同様、単純な盛り付け作業に向いておりますが、ポリパテに比べて密度が高いことと、硬化により時間を要する点が異なります(長いもので数日単位かかるものも)。
硬化までの間にある程度の造形作業を行なえます。主剤と硬化剤を混ぜる際や形を整える際に、手やヘラを少し水で濡らすとパテがつきにくく作業がしやすいです。肉抜き穴の充填などによく使われます。
セメダイン エポキシパテシリーズ
エポパテに色々種類がありますが、乾燥までの時間と乾燥後の切削性の良さではセメダインより発売されているエポキシパテ 木部用(通称木パテ)がオススメです。エポパテの中では比較的硬化時間が早く、乾燥後はサクサク削れます。
乾燥後の切削感が柔らかすぎて好みでない場合は、同社のエポキシパテ 金属用(通称馬パテ)があります(これはこれで硬すぎるという意見もありますが…)。
WAVE ミリプットエポキシパテ
WAVEより発売されているミリプットエポキシパテはエポパテの中でも密度が高い特徴があります。
価格に対して量が多いという特長があります。密度が高いため気泡ができにくいですが、硬すぎるきらいがあり切削性はやや劣ります。
ほかのエポパテ同様、二つの充填剤を混ぜ合わせるのですが、密度が高いせいか硬化前からやや硬く、少し混ぜにくいです。
エポパテの練り方
エポパテは主剤と硬化剤を練り合わせてますが、混合が十分にされていないと硬化不良を引き起こすため注意が必要です。
練り方の一例として普段行っているエポパテの練り方を木パテを使って紹介します。
1.まずは使う分だけ切り出します。木パテは充填剤(外側)と硬化剤(内側)が合わさり1本になっています。
2.次に適当に細長い棒状に形を変えてください。この際に混合比率などは気にしなくて大丈夫です。
3.棒状になったパテを中心で折り返します。
4.折り返したパテを更にねじり合わせます。
5.ねじり合わせたパテを潰して再び棒状の形を作ります。
上記の2~-5の手順を繰り返すことで均等に練り合わせることができます。それぞれの充填剤の色が混ざりきるまでしっかりと練りましょう。
瞬間接着パテ
微粒粉末と硬化液を混ぜて使用します。プラスチックへの食いつきが良く、切削性も良好、硬化時間が短いという利点があります。
他のパテに比べて割高感がありますが、エポパテやポリパテと併用すれば、なかなか長持ちしてくれます。
デメリットは先述した通り、若干割高なのと、硬化液が劣化しやすい印象があります。ちょっとレジに持って行きにくいパッケージだと思うのは気にしすぎでしょうか。
かつてはアルテコの瞬着パテがメジャーでしたが、今では量販店では上記のGSIクレオスのものが一般的です。
最後に
この記事で紹介したものはほんの一例です。同じパテでもメーカーによって硬化時間や削りやすさなどに差異があるため、色々試して自分にとって使いやすいパテを見つけましょう。