【コラム】塗装方法と塗料について

プラモデルを説明書通りに作るだけでなく、よりリアルに仕上げたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。その際、合わせ目消しとともにおすすめしたいのが塗装作業です。
塗装をすることでプラスチックの素材感を無くしたり、設定あるいは実物により近い状態を再現することができるほか、ウェザリングと呼ばれる汚しなどの表現も行うことができます。
ここでは代表的な塗装方法や塗料について大まかに解説していきたいと思います。

主な塗装方法

エアブラシ

エアブラシは塗料を缶スプレーのように塗料をエアー(またはガス)で吹き付けて塗装するアイテムです。缶スプレーと原理は似ていますが、エアブラシは塗料を入れて吹き付けを行なう「ハンドピース」とエアーを送り出す「コンプレッサー」、またはガス缶から成り立っています。ガス缶の方が手軽に見えますが消耗品であるため、ランニングコストを考えるとコンプレッサーに軍配が上がります。
メリットは色の選択肢が多いこと、ムラなく塗装できること、多様な表現方法を簡単に行えること、ランニングコストが低いことです。
デメリットは初期投資が高いことと、缶スプレーと同様に換気ができる環境を用意する必要があります。また塗装の際は塗料と溶剤を調合する手間があるほか、一色塗る度にエアブラシ本体の洗浄をする必要があるため、溶剤を多く消費します。

筆塗り

筆による塗装は最も一般的な方法のひとつです。ほとんどのモデラーはエアブラシメインで筆をサブに使用するいるのではないでしょうか。塗料以外にも溶きパテやプライマーなどを塗るときも重宝します。
メリットは細部塗装や書き込みなどが可能なことと、面相筆から平筆まで形や大きさの種類が豊富で選択肢が広いことです。デメリットは広範囲の塗装に向いていないことと、塗膜にムラができやすいことです。またハッキリとした輪郭線のものを描くのに向いている反面ボカシの塗装などは技術が要求されます。
筆をメインで使用しない場合でも何かと役に立つアイテムなので数種類の筆を持っておくことをおすすめします。一番初めに買うものとしては穂先がナイロン樹脂製(オレンジ)の筆が、値段が手ごろで使いやすいです。穂先の形状は色々ありますが、面相筆と平筆の2種類を揃えておくと困ることは少ないと思います。

缶スプレー

缶スプレーは手軽に吹き付け塗装ができることが特徴です。タミヤのスプレーなどは同社より発売されているカーモデルの指定色となっているケースが多いため、カーモデラーなら購入する機会がよくあるのではないでしょうか。
広範囲の面積に対して均一に吹き付けるため、ムラなく塗装できる反面、細かい塗装には不向きのため、細部は筆塗りするなどの組み合わせを行ないます。
デメリットは使用にあたり換気ができる環境を用意する必要があることと、ほかの塗料と装置が一体となっており一色ごとに購入する必要があるため、ランニングコストが割高となる点です。
使用前に缶をよく振り、中の塗料をしっかりと攪拌(かくはん)させてから使います。冬場など気温が低いと中のガス圧が低下しているため、人肌程度のお湯などにつけて少し温めるとしっかり動作してくれます。

ガンダムマーカー

バンダイが発売しているガンプラ製作用のアイテムの一つです。
マーカータイプのため、扱いやすいというメリットがあります。またデメリットは色のバリエーションが少ないことや値段がやや張ることのほかに、広い面積の塗装ではムラが目立つことです。部分的な塗装なら問題ないですが、マーカーだけで全体を塗装するとなるとほかの手段を考えたほうが現実的です。
スミ入れ用のマーカーもあり、現在では4種類のタイプが発売されています。モールドをこのマーカーでなぞった後に消すゴムでなぞることで、お手軽にスミ入れができます。しかし、ラッカー系塗料に対しては食いつきが良いので、はみ出た部分が消しゴムでは落とせないので気を付けましょう。

主な塗料

プラモデルの塗料はビン入りの塗料が各社から発売されているものがスタンダードとされています。このビン入り塗料は特性別に大きく3つに分けることができます。これらの特性を理解し、使い分けることが塗装においてとても大事です。

ラッカー塗料

プラモデル用塗料の中で最もポピュラーな塗料がラッカー系塗料です。乾燥時間が早く、塗膜が強いのが特徴の一つです。各社から様々な商品展開がされており、色数が豊富であることも強みの一つです。

水性塗料

水性塗料はほかの塗料と違い、水を溶剤の代わりに使うことができます。水で筆を洗ったり、塗料を水でのばしたりすることができます。臭いもラッカー塗料より強くないため周囲への影響も少ないことも特徴の一つです。なお、乾燥後の塗料は水では落ちないため、専用の溶剤を使います。

エナメル塗料

エナメル塗料は塗料のノビがよく筆塗りしやすく、発色も良いという性質を持っています。
ラッカー系塗料や水性アクリル系塗料の上に塗り重ねた後にエナメル溶剤で拭き取ることができるのが大きな特徴です。この特徴を活かし、細かいモールドに塗料を流し込むスミ入れや仕上げに重宝されます。反面、浸透性がとても高いため、少しザラついた表面では塗料が染しみ込んでしまうほか、樹脂を脆くさせてしまい、破損の原因につながるので扱いには注意が必要です。

今回は塗装道具と塗料について大まかに紹介しました。いずれも向き・不向きがあるため、しっかりと把握して使い分けることがプラモデルの製作において重要なポイントになります。それぞれの道具で使い方については個別の記事でまとめていきたいと思います。