【コラム】黄色

バレンティーノ・ロッシという人物をご存じでしょうか?

二輪ロードレースの最高峰カテゴリーであるMotoGPで輝かしい経歴を持つオートバイレーサーとして有名な人物です。彼は黄色を自身のパーソナルカラーとしており、ヘルメットをはじめ随所に黄色があしらわれたデザインを身にまとっています。

黄色は色の三原色の一つで、有彩色の中でもっとも明るい色です。

その明るさからポジティブなイメージをもたらし、活発さや軽快さを表現する際に使われる一方、集中力を高める効果があることから黒との組み合わせによる警戒色は日常の色々なシーンで見かけることもあります。

この黄色という色。模型的には塗装する際にかなり厄介な色だと思っています。理由は以下の2つです。

  • 黄色は隠ぺい力が弱いため、下地の影響をモロに受けやすい。
  • その癖、意外と使用されている個所が多い。

要は好き嫌いではなく、塗装をする際に気を遣うということです。隠ぺい力が弱い色はほかにもありますが、黄色ほど多く使わないため気になりません。白は隠ぺい力の高い塗料もあり、やはり黄色の方が手こずるシーンが多い印象です。

ガンプラで言えば、連邦系MSの腰部ブロック(V字部)やバーニアノズル内部。航空機などで言えば、日本軍機の主翼前縁部のように暗い(または濃い)色の中に黄色が配色されているケースをよく目にします。

この場合、黄色を綺麗に発色させようとすると下地に白を塗装し、その上から黄色を塗る必要があります。サフなしでパパッと作ろうとしているのに、黄色があるだけで白色を塗って乾燥させるという手順が挟まることになるのです。

黄色は色の特性上、目立ちやすいためハミ出しや塗り残しがないよう余計に気を遣います。タッチアップも面倒なので、こうして考えると本当に厄介な色だなとつくづく思います。

しかし、マイナスばかりではありません。

日本軍機の主翼前縁を例に挙げると、目立つよう配色されている分、キッチリ塗り分けてやると、仕上がりがとてもサマになります。暗いカラーリングにあしらわれた鮮やかな黄色はとても目を引きますので、発色を良くして際立たせたいところですね。

黄色いパーツのスミ入れで黒を使用すると目立ちすぎることもあります。この場合はグレーやブラウンなどを使用してやるとスジボリの主張を抑えることができます。

黄色は隠ぺい力が弱い分、扱いにくさを感じることがありますが、その鮮やかさから出来栄えを左右する存在でもあります。塗装の時は発色をよくするように心掛けていきたいですね。