【コラム】ニュートラルグレー

最近、巣ごもり消費によって模型関連のアイテムの売れ行きが好調のようです。

近所の量販店や模型店での模型本体の品薄具合は2020年の5月頃に比べて収まっているように見えますが、塗料の品切れが引き続いている印象です。

私はクレオスのMr.カラーをメインの塗料にしていますが、艶消しブラックやニュートラルグレーなどの基本色が売り切れてるのが辛いですね。

基本色は他社製品でも類似色があるのですが、ニュートラルグレーはちょっと怪しいです。

タミヤやガイアノーツもニュートラルグレーという塗料はあります。しかし、ガイアノーツはニュートラルグレーⅠ~Ⅴの5種類が展開されています。

クレオスのニュートラルグレーに一番色合いが近いのはニュートラルグレーⅢですが、すんなり置き換えていいものか悩むところです。

そもそも「ニュートラルグレー」とは何なのでしょうか。

ニュートラルグレーとはそのまま訳すと「中立の灰色」ですね。何が中立かというと色の三原色であるRGB(Red,Green,Blue)の割合です。

色には「色相」「彩度」「明度」の3つの属性があります。

色相とは赤や青など色みのことです。彩度は色の鮮やかさを意味しています。例えばパステルカラーの赤とトマトのような赤は同じ赤でも彩度が違うため、異なる印象を受けます。

明度は明るさのことです。白に近い色は明度が高く、黒に近い色は明度が低いと言えます。

ニュートラルグレーはこの3属性のうち色相と彩度のない全てのグレーを指します。極論、白と黒を混ぜれば作り出せますが、絶妙な塩梅を出すとなると難しそうですね。

仮に色みを均等に整えないと色みのあるグレーになりニュートラルグレーから外れることになります。例えばRGBのうち、Rを抜けば緑みのある灰色となります。

ここまでの話でニュートラルグレーが特定の色味を持たない無彩色ということがわかりました。無彩色はその性質上、どの色にも馴染むことができます。白や黒と合わない色がないように、ニュートラルグレーもほかの有彩色との相性が良いということです。

しかし、視認性の観点から明度が近い色同士だとぼんやりとしてしまいます。そうした場合は、同じニュートラルグレーでも明度に差をつけることでメリハリを出すことができます。

また、組み合わせが良くない2つの色でもニュートラルグレーを間に挟んでやることで、調和させることもできます。

ガイアノーツのニュートラルグレーⅠ~Ⅴは、白から黒にかけてのグラデーションの中にあるグレーを明度別に分けたものなので、ほかの色の明度とバランスを取りながら適宜選ぶことで効果的な使い分けができます。

色みを持たない分、幅広い用途に使えるニュートラルグレー。使い勝手がとても良い色なので、早く店頭在庫が復活することを願います。