【キットレビュー】ハセガワ 1/72 AV-8B ハリアーII

AV-8B ハリアーⅡについて

今回紹介するキットはハセガワの1/72スケールキット、AV-8B ハリアーIIです。

ハリアーⅡはマクダネル・ダグラス社(現在のボーイング社)によって開発された攻撃機です。個人的にはアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『トゥルーライズ』に登場したのが印象的な機体です。

AV-8B ハリアーⅡの先代はAV-8A ハリアーは1960年頃に登場し、海兵隊に採用されました。

ホーカーシドレー社の初代ハリアー。写真はイギリス空軍で運用された機体。
(パブリックドメイン、wikipedeiaより)

ハリアーの最大の特徴は垂直/短距離離着陸を行える点にあります。通常の飛行機はエンジンの推力を後方に向け、離陸に必要な速度を得ます。しかし、ハリアーは推力を真下へ向けることでヘリコプターのように垂直方向への離陸を行うことができます。このような独特な離陸方式を持つことからジャンプジェットと呼ばれたりもします。

ほとんどの垂直離着陸機は短距離離着陸の機能を兼ね備えており、このハリアーも例外ではありません。

排気ノズルを真下ではなく、斜め後方へ向けることで短距離離陸(STO:short take off)を行うことができます。垂直方向への離陸(VTO:vertical take-off)は燃料消費が激しいため、実際の運用上行うことは少なく、短距離離陸と垂直着陸を組み合わせたSTOVL方式(short take off/vertical landing)での運用がメインです。

初代ハリアーはペイロード(兵器搭載量)の少なさと航続距離不足が運用上の課題でした。こうした海兵隊の戦術要求に応えたのがAV-8B ハリアーⅡです。

機体構造は基本的に踏襲していますが、各部が改良されています。胴体幅は拡大され、エンジンも推力が20%向上したことで最大離陸重量が増加しています。

キャノピーが大型化されたことにより下方視界が確保され、着陸時(特に垂直着陸)の操縦性を高めています。

主翼の形状変更と大型化に伴い、厚みが持たされ翼内の燃料搭載量が増加しています。また、主翼前縁の付け根にLERXと呼ばれる延長部が取り付けられ機動性が向上しました。主翼の大型化により、翼下のハードポイントが左右1つずつ付与され、先代の弱点であったペイロードも改善が図られました。

胴体の下部に取り付けるガンポッドにはストレーキが付いており、垂直離陸時の揚力向上に寄与しており、ガンポッドを胴体に取り付けない場合は同じ働きを持つストレーキ単体を取り付けます。

このほか機体の主翼・水平安定板・機首部には炭素繊維強化プラスチックが使用され軽量化も図られています。

キットについて

ハセガワの1/72 ハリアーⅡは同社のD帯定番商品として、AV-8B ハリアー II(D19)、AV-8B+ ハリアー II プラス(D24)の2種類が発売されています。価格はそれぞれ1,200円です。

ハリアーの特徴である排気ノズルはポリキャップにて可動します。ガンポッドとストレーキは選択式になります。

ハリアーⅡプラスの組み立て説明書。機種の形状が異なっている。

ハリアーⅡプラスはAN/APG-65レーダーを搭載し、AMRAAM運用能力を得た”レーダーハリアー”と呼ばれる機体ですが、肝心のAMRAAMは付属していません。レーダーの搭載に伴い機種部の形状が変わり、ハリアーⅡのARBS(角速度爆撃システム)がなくなっています。個人的にはノーズのARBSのクリアブルーがいいアクセントとなっているため、無印のハリアーⅡ[D19]の方が好みです。

運用部隊のエンブレム、または機種部の形状でどちらを買うかを決めると良いと思います。

ガンポッドとストレーキは選択式になっています。

総評

穴埋めが必要な個所やパーティングラインが目立つ場所にできる印象があるものの、全体的に組み立てやすいキットです。高翼配置に特徴的なエンジンレイアウト、排気ノズルと独特のランディングギアの配置は他に類を見ません。普段ジェット機を作り慣れていても新鮮さを覚える内容なので、少し変わった機体を作ろうと思っている方にもお勧めしたい機体です。