今回紹介するのはハセガワの1/72スケールキット、F/A-18F スーパーホーネットです。
通常生産版ではなくデカールを差し替えた限定生産品で、厚木基地に展開していた第102戦闘攻撃飛行隊”ダイヤモンドバックス”の2005年,2006年当時のCAG機を再現することができます。ちなみに艦載機の拠点は2018年に岩国へ移したこともあり、厚木基地ではスーパーホーネットを目にする機会はなくなりました。
製作にあたり、主翼部分はローンスター様より販売されている「スパホの主翼」に置き換えています。
CAG機とは
CAG機とはCommander Air Group,日本語に訳すと司令専用機という意味合いになります。
「専用機」というとガンダムの世界では指揮官機/隊長機を示すためにカラーリングを変更したり、一部機体の仕様を変更したものを指します。
現実世界でも第一次世界大戦、第二次世界大戦でエースパイロットと呼ばれた人は機体のカラーリングを変更したり、パーソナルマークを機体に貼り付けていました。エースパイロットがその戦域にいることを示すことで自軍の戦意高揚や敵への恐怖心をあおる効果があったのでしょう。
ジェット戦闘機主流の時代でも垂直尾翼に派手なデザインをあしらった機体は存在し、これらはハイビジ(High visibility )塗装と呼ばれています。ベトナム戦争以降は視認性の観点から目立たない灰色の塗装で機体が統一されることになります。この塗装をロージビ塗装( Low visibility)と呼びます。
冒頭に紹介したCAG機は航空団傘下にある各飛行隊の飛行隊長の搭乗機であり、飛行隊のシンボルとして派手な塗装が施されていることが特徴です。しかし、高位の士官は撃墜時のリスクを考慮し作戦飛行は禁止されており、戦闘任務時は地上または空母より戦闘の指揮にあたるため、他のパイロットが操縦することがあります。
F/A-18F スーパーホーネットとは
F/A-18 ホーネットの発展型後継機にあたり、E型が単座型、F型は複座型になります。
愛称は先代のホーネットを超越する存在として”スーパーホーネット”と名付けられています。また無線上でF/A-18A~Dと区別するため”ライノ(Rhino)”というコールサインを用いており、非公式の愛称となっているほか、日本のネット上では”スパホ”とも呼ばれています。
また本機の登場により、これまでのF/A-18A~Dを”レガシー・ホーネット”と区別することもあります。
1995年の初飛行、2001年の作戦能力の獲得以降、アメリカ海軍の艦載機として配備されました。
先代のF/A-18C/D型のウィークポイントである航続距離の短さを解消するため、胴体、主翼延長、拡大して機内燃料の搭載量を増やしたほか、垂直尾翼にも機内燃料を収めています。
主翼の大型化とストレーキ(主翼前縁と胴体をつなぐ部分)が拡大され、主翼下のハードポイントが左右以下所ずつ増設されたほか運動性能も向上しました。
機体の大型化、翼面積の拡大化に伴う重量増加はエンジンの強化によりある程度補っていますが、加速性能はレガシーホーネットに比べ、やや劣るものになりました。
キットについて
ハセガワのキットでは比較的新しいため、スジボリも綺麗で組み立てやすい部類に入ります。
外部燃料タンク3本、AIM-9Xサイドワインダー、AIM-120Cアムラームが2本ずつ付属するほか、胴体ハードポイントに設置する赤外線監視装置ポッド、AN/AAS-38ナイトホークが付属します。
冒頭で述べた通り、デカールを差し替えた限定生産版です。デカール以外は通常帯の商品と同様のため、武装もそれぞれ付属します。
部隊名のダイヤモンドバックスは背中にひし形の模様をもつダイヤガラガラヘビに由来しており、CAG機ではこの蛇同様、機体上面にあしらわれたひし形が目を引きます。
厚木基地でよく目にするのは武装を搭載していないクリーン状態なので、この状態を再現するため武装は取り付けず、燃料タンクのみとしました。
最後に
アカデミーのF/A-18C製作時に利用させていただいたローンスター様のレジンパーツを今回も使用しました。ホーネットシリーズはフラップを下げているイメージが強いのでこのアイテムは本当に助かります。
現在でもアメリカ海軍の主力艦載機として運用されているため、様々な仕様や塗装のスーパーホーネットを目にすることができます。馴染みのある機体やお気に入りの兵装状態を再現しやすいのが本キットの魅力のひとつですね。
個人的には通常帯で再現できるVFA-2”バウンティーハンターズ”のマーキングが好きなので次回製作の機会があればこれを再現しようと思います。