【キットレビュー】ハセガワ 1/72 F-35 ライトニングⅡ(A型)

製作を進めていたF-35が完成しました。

実機の紹介

アメリカのロッキード・マーティンをはじめ、各国で共同開発された第5世代のステルス多用途戦闘機です。開発計画の名称であるJSF(Joint Strike Fighter,=統合打撃戦闘機)とも呼ばれていました。

JSFとはアメリカの同盟国の既存の戦闘機・攻撃機を同一系統の新型機に置き換えて調達コストを抑えることを目的とした開発計画でした。そのため、置き換えの対象はアメリカのF-16,A-10,F/A-18,AV-8B、イギリスのシーハリアー、カナダのCF-18など多機種に渡りました。

2000年に概念実証機であるX-35が初飛行し、ボーイング社の開発したX-32と比較選考の結果、X-35がJSFとして選定されました。

F-16を採用したアメリカの同盟国も採用することを見込まれたため、システム開発実証段階で国際パートナーの参加枠を設け、共同出資により開発は進められました。

F-35はステルス性を考慮した機体デザインで、兵装類は機体内部の兵器倉に格納しますが、ステルス性を犠牲にして胴体、主翼下に兵装を懸架することも可能です。この状態は”ビーストモード”とも呼ばれています。

機体の構造材にレーダー波を吸収する特殊素材(RAM)をカーボン素材に混合したほか、塗料にもRAMを使用しています。これにより、従来のステルス機よりも低コストで維持・管理することが可能になりました。

F-35はタッチパネル式のコクピットや、全周囲視界を実現したヘルメットのバイザーに飛行情報を表示するHMD(Head Mount Display)と呼ばれるシステムを搭載しており、従来の航空機とはアビオニクスの面で大幅な進化を遂げた機体になりました。

F-35は3タイプの機種が存在します。

F-35の基本型であるA型、STOVL(短距離離陸および垂直着陸)機能を持つB型、艦載型のC型の3種類です。

今回製作したA型は空軍向けの機体であり、唯一固定武装として機関砲(GAU-12 イコライザー)を搭載した機種です。

日本は開発計画には未参加でしたが、2011年12月に航空自衛隊のF-4EJ改の後継機としてF-35のA型を選定、2017年12月より航空自衛隊の第3航空団で配備が始まりました。

キットについて

前回の製作記からデカールの貼り付けや細かい部品の取り付け、クリアコートを経て完成となりました。実機の写真をいくつか見たところツヤがある印象を受けたので、今回はトップコートに半光沢を使用しました。

比較的面積の大きいパネルラインには塗分けの塗装指示があり、マスキングの難易度が高い複雑な形状周りのパネルラインはデカールで再現する仕様です。

ギザギザした個所が多いため、デカールが用意されているのはとても有難いですが、透明な面積が多く含まれています。シルバリングが起きないよう気を付ける必要があるほか、機体のモールドとサイズが微妙に異なる箇所もあるので何かと気を遣う作業が続きました。

機体の曲面形状に沿って貼り付ける必要があるため、マークセッター、マークソフターなどの補助剤を用意することをオススメします。

ノズル内部はタミヤのウェザリングマスターで軽くスス汚れを表現しています。配備から間もない機体なので汚れは少ないとは思いますが、どうしても汚れる部分だと思うので、申し訳程度に汚しています。

胴体上下に付けるパーツ、E4・E5・E11はレーダーリフレクター(反射板)と呼ばれる部品で、レーダーにわざと機体を映りやすくさせる部品です。組み立てたい状態に応じて取り付けるかどうかを選択しましょう。

総評

グレーの日の丸と白抜きのオジロワシが印象的です。

左:ハセガワ(レベル) 1/72スケール F-22

同スケールのF-22との比較。機体形状は似てますが、サイズは大きく異なることが分かりますね。

パーツの精度は良好。パーツ数が少ないので形にしやすい一方、ちゃんと作るには色々と手がかかるキットです。息抜きに軽く組もうと思ったら意外と合わせ目が気になったり、デカールの貼り付けに手間がかかったりと面倒な印象を受けるかもしれません。胴体内部の兵器倉はオミットされている点も人によってはマイナスかもしれません。

しかし、割り切って作ってもそこそこ見映え良く仕上がりますし、作りこみたい人には色々と余地が残されているので納得するまで作りこむことができます。そう考えると懐が深いキットと考えることもできますね。