【キットレビュー】ホビー2000 1/72 OA-4M スカイホーク

ホビー2000の1/72スケールキット、OA-4Mスカイホークが完成しました。

OA-4Mは、スカイホークの海兵隊仕様であるA-4Mの前線航空管制官用機です。前線での味方歩兵の管制や支援攻撃を目的とした機体です。

実機について

A-4 スカイホークはダグラス社が開発した艦上攻撃機です。

1952年、海軍は攻撃機をダグラス社に発注した際、機体重量は14トン程度を見込んでいましたが、ダグラス社の設計者エド・ハイネマンが小型・軽量を主眼に設計したことで、6.7トンという要求の半分以下の機体重量に収めた逸話が有名な機体です。

シンプルな機体設計により、信頼性、整備性、経済性の面で非常に優秀な機体として完成したため、アメリカ以外の諸外国でも導入・運用されました。1979年の製造終了までに2,960機が生産されました。

軽量かつ頑丈な機体を実現するために、機体内部の爆弾倉や主翼の折りたたみ機構は取り入れられておりません。主翼を折りたたまずに空母のエレベーターに搭載できるように設計した結果、機体サイズは小型になりました。

小型機はその内部容積が小ささから、燃料搭載量を確保することが難しいとされています。

スカイホークも例にもれず、航続力の面では他の同世代のジェット戦闘機に一歩譲る形になりますが、主翼の折りたたみ機構を持たない分、主翼内部に出来る限りの燃料を搭載できるよう設計されています。

スカイホークの操縦性は良好で、毎秒360度の横転率を誇る敏捷性を誇ります。運動性能についても後発のF-16,F/A-18には敵わないものの、低高度、中高度における良好な性能を発揮します。主翼が小さいことで乱流による機体の振れが少ないため、パイロットは地上攻撃に集中することができました。

初期型のスカイホークは簡素な航法装置しか装備していなかったものの、後期型では電子機器のアップデートが順次進められました。A-4Mでは角度率爆撃システムが搭載され、機首にはテレビセンサーが装備されました。同時に装備されたレーザースポット追跡装置でレーザーによる目標の追跡・補足が可能になりました。

機体が小型なため、内部に搭載するスペースが確保できないことから順次更新・装備された電子機器類は胴体上部のコブのようなフェアリングを取り付け、この中に格納することになりました。

細長いノーズギアもスカイホークの特徴の一つです。

米海軍の採用した初期のジェット艦載機は着艦時に尾部がぶつかるという問題があり、これを回避するために取り付けられたものです。このノーズギアの高さが離陸時に自動的に大迎角を作るため、離陸がしやすいという特色があります。

ノーズギア、メインギアは前方に振り上げる形で機体に格納します。ギアが故障した際は重力と風圧でギアが降りるよう工夫がされています。

1956年にアメリカ海軍で部隊配備以降、海兵隊や米国以外の国でも採用されました。アメリカ海兵隊では本機を地上部隊の航空支援機として運用し、1980年代にAV-8B ハリアーⅡと置き換えるまで運用されました。

キットについて

ホビー2000より発売されたOA-4Mスカイホークを製作しました。

主翼下に取り付けるロケット弾ポッドもあったのですが、見た目が余り好みではないため、燃料タンク3本のみ懸架させました。

精密感のあるモールド、ディテール豊かなパーツは国産キットと思うほどの質の高さを感じました。ややノリがつよいものの、マスキングシールが付属していた点も個人的には嬉しかったです。

主翼部のフラップや前縁スラット、胴体部のエアブレーキの開閉が選択式なのはとても好感触です。

あえてウィークポイントを上げるとしたら、前縁スラットの取り付け部位が飛び出ているため、製作中に何度も折りそうになりましたので、ここは要注意ポイントかなと思いました。

また、私はあまり気にならないレベルですが、キャノピーの角度が急なのもありますが、クリアパーツの透明感はハセガワ製のキットにわずかに劣る印象です。

他は説明書のイラストが塗装指示と微妙に食い違っていたり、説明書内の部品番号が違うなど海外メーカーらしいポカがいくつかあった程度です。

予想以上に質の高さを感じることができた良いキットでした。最近躍進が目覚ましいアジア系キットよりも国産に近い感触で製作できるので、国産キットを作り慣れた人であればオススメできるキットです。