【キットレビュー】HGUC RGM-79 パワード・ジム

これまでの記事では基本的な工程や道具を紹介してきました。今後はプラモデルのレビューをメインに行っていきたいと思います。

レビュー第一回目の今回は前回の記事で作例としてお見せしたHGUCのパワード・ジムについて、キットレビューをしたいと思います。

RGM-79 パワード・ジムとは

OVA『機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー』に登場する連邦軍の試験機です。

一年戦争終結後、連邦再建計画の1つ、ガンダム開発計画にてRX-78 GP01 ガンダム試作1号機が開発されますが、この1号機用の大型バックパックの先行開発品のテスト機という位置付けです。この大型バックパックと並行開発されたショックアブソーバーをジム改に搭載した機体で、推力は搭載前の3割増しとなっています。

テストベッドとして作られたため、型式番号などは存在せず、通常のジムと同様、RGM-79扱いとなっています。劇中冒頭の鹵獲したザクとの模擬戦ではその推力を活かし、圧倒していました。この時に流れていたBGM「BACK TO PARADISE」とセットでとても印象に残るシーンでした。

主なパイロットはディック・アレン。物語のはじまりの舞台であるトリントン基地のテストパイロットの中でも優秀で、劇中において試作1号機に乗るのは自分か上官のバニングだろうと語っている点からもその自負が見られます。

武装はベースとなったジム改より変更点はありません。ガトー追撃時に担いでいたハイパーバズーカのイメージが個人的には強いです。

キットについて

2006年に1200円で発売されたキットです。これまでガレージキットでしか立体化されていなかったため、商品化された際に0083ファンにとってとても注目度の高いアイテムでした。バックパックとショックアブソーバーの追加により、通常のジムに比べて重厚感が増しており、本キットではそれがうまく再現されています。

肩、肘、足首、膝関節の保持力確保のため、Dランナーの材質はABS樹脂が使用されています。これらのパーツの合わせ目を消すにあたりABS接着剤を使用しました。

頭部/胴体

塗装をする場合、合わせ目が目立つ位置にあるため、ここが一番厄介な場所になります。クリアパーツのバイザーのマスキングを行うか、後頭部を分割して後ハメできるように加工してやる必要があります。どちらも難しい場合は、少々面倒ですが、組み立て前に塗装後、接着。乾燥後に合わせ目を処理して、処理した部位を再塗装というステップで対処できます。
バイザー内部はグレーのパーツで再現されているのは嬉しいポイントです。
今回はバイザーをクリアグリーンで塗装し一段暗くしたため、内部パーツが目立つようシルバーで塗装し、存在感を損なわないようにしました。
後頭部のアンテナは数少ない部分塗装が必要な個所ですね。

バックパック

胴体のインテーク(黄色部)は面積が小さいため、塗装する際も後ハメせず、普通に組み立ててマスキングしてやれば大丈夫だと思います。今回は切り離して後ハメしましたが、ここまでやるなら薄いプラ板に置き換えてやれば良かったです。

特徴的なバックパックですが、少し悪いことと、ヒケができるため気になりました。

腕部

腕部は肘が二重関節となっていて少し長い印象がありますが、可動範囲は良好です。この二重関節は組んだ後に腕部に挟み込まれるため、塗装する場合、後ハメが加工が必要な場所となっています。また肩横と前腕の合わせ目が目立つほか、袖口はグレーで塗装してやる必要があります。

握り手は右手が銃火器を握れるものとビームサーベル用に穴あきゲンコツが、左手は平手がそれぞれ1つずつ付属します。左手の平手は手の甲と手の平の方向にスイングさせることができるため、使い勝手が良いです。

腰部・脚部

腰には相変わらずのV字モールド。塗装する際は要タッチアップです。前後のフロントアーマーに対してサイドスカートはシンプルな造形。スジボリやモールドを追加してみてもいいかもしれません。

バックパックと並んで特徴的なショックアブソーバーの合わせ目は見えないように工夫されています。スネは合わせ目が出ていますが、容易に処理できる場所にあります。

足首のボールジョイントのほかにつま先にも可動軸が設けられており、設置性は良好です。アンクルアーマーは左右から挟み込むため合わせ目ができます。塗装する場合はここも後ハメ処理の対象ですね。

武器

手持ち武器としてブルパップマシンガンとハイパーバズーカが付属します。いずれも左右張り合わせのモナカ構造です。

ハイパーバズーカはガンダムMK-Ⅱが使用しているものと同じタイプですが、グリップが前後に可動するためポーズが付けやすくなっています。初代ガンダムが持っていたハイパーバズーカに比べてスマートな分、やや迫力に欠ける印象があります。

シールドは十字のないものが付属し、取り付け位置を肘と腕部側面の2か所から選ぶことができます。取り付けてない側が目立つのは仕方ないですね。
ビームサーベルは柄が一本、クリア成型の刀身が2本付属します。

総評

ABSパーツが含まれているため塗装の際は気を使いますが、0083のキットは全体的にキットの出来が良いように思います。このキットも例に漏れず、バランスよくまとまっている良いキットだと思います。

ジムの中でもどっしりとマッシブなイメージがうまく再現されていて組んでいて楽しいキットでした。カラーリングが試験機らしいものなので、塗装派なら「もし量産化されていたら…」といったアレンジをしてみても面白いかもしれません。