今回はハセガワより発売された1/72スケール、F-22 ラプター“エースコンバット メビウス1″をご紹介します。実機と本機が登場するゲーム『エースコンバット04』について触れていきたいと思います。
F-22について
F-22はアメリカのロッキードマーティン社とボーイング社が共同開発したステルス戦闘機です。愛称のラプター(Raptor)は猛禽類を意味します。
制空戦を主任務とし、圧倒的な性能差による航空支配戦闘機(Air Dominance Fighter)というキャッチフレーズが付けられました。
アメリカ空軍の制空戦闘機F-15 イーグルの後継機として先制発見・先制攻撃・先制撃破(First Look・First Shoot・First Kill)をコンセプトに1980年初頭から開発がはじまり、2003年より配備が開始されました。このコンセプトに求められる高度な火器管制装置とステルス性能を持つ戦闘機を第5世代戦闘機と分類します。
大きな特徴は3つのSと呼ばれる性能要求を満たしている点です。
- Stealth(ステルス):レーダーからの隠密性が極めて高いステルス特性を持つこと
- Super Cruise(スーパークルーズ):アフターバーナーを使用しない通常推力による超音速巡航能力を持つこと
- Short takeoff and landing(STOL):短距離離着陸能力を持つこと(F-22の場合およそ1キロ)。
これらの能力に加え、大出力エンジンであるF119を2基とその推力を上下20度まで傾けることができる推力偏向パドルの採用により、高い機動性を併せ持つ世界最高水準の戦闘能力を有する戦闘機です。
エースコンバット04について
『エースコンバット04 シャッタードスカイ』とは2001年にナムコより発売されたプレイステーション2用フライトシミュレーションゲームです。同社のエースコンバットシリーズの第4作目にあたり、本作のみ”04”表記とされています。
ゲームの舞台は現実世界ではなく、エースコンバット2にて構築されたストレンジリアルと呼ばれるエースコンバット独自の世界です。
ユージア大陸西部のエルジア共和国と大陸中部~東部に存在する諸国群の中央ユージア連合(FCU)は長年対立関係にありましたが、小惑星ユリシーズの落下によって発生した難民問題により対立が激化しました。
エルジア軍が大陸中部の中立国サンサルバシオンへ侵攻したことをきっかけに大陸戦争が始まります。大陸各国はこれに対しISAF(独立国家連合軍)を組織するもエルジア軍の軍事力に対抗できず、北東の島国ノースポイントまで撤退を余儀なくされます。
エルジア軍はこのノースポイントに置かれた脆弱な総司令部を叩くべく爆撃部隊を出撃させます。これを阻止すべく、ISAFの空母からコールサイン”メビウスⅠ”を含めた迎撃部隊が発進するところから物語は始まります。
プレーヤーはこのメビウスⅠとなり、劣勢に置かれたISAFの戦局を打開していくことなります。メビウスⅠの活躍は物語(=ステージ)が進むにつれに知れ渡り、エルジア軍からは死神、ISAFからは英雄のように称えられはじめ、無線越しにその評価をうかがい知ることができ、その演出が本作が好評となる一因となりました。
キットについて
ハセガワから2013年11月に品番SP311にて発売された1/72スケールキットで、価格は5400円(税抜)です。
内容はドイツレベル製のラプターのキットにデカールを追加したものです。キャノピーはクリアイエローにて塗装済みのものが付属します。
説明書はカラー印刷のホチキス留めで質感の高いものになっています。
ギアベーンはデザインナイフなどで切り離す必要がありますが、スタンドが付属しているため飛行状態でも飾ることができます。
説明書後半には塗装図とデカールの指示があるほか、ゲームのデザイン案が載っており、ゲーム本編に採用されなかったノーズアートやエンブレムマークを確認することができコレクターアイテムとしての価値もあります。
F-22の特徴であるウェポンベイ(搭載兵器格納庫)も再現されています。
武装は短射程対空ミサイルのAIM-9M、AIM-9Xが2発ずつ、中距離対空AIM-120Cが6発、精密誘導爆弾のGBU-31が2発付属します。今回はAIM-9X,AIM-120Cの組み合わせで作りました。
1/72のラプターと言えば、タミヤイタレリの製品もよく流通していますが、ドイツレベルの方がモールドがシャープで再現度も高い印象があります。ところどころヒケが見られるものの、組み立てはスムーズに進みました。
付属のデカールはエースコンバット04に登場した他の機体を再現することもできます。
メビウスⅠと言えば、F-22ですが、Mission 01[SITTING DUCK-張子の基地-]では初期機体であるF-4Eの発艦シーンが挿入されていることから、こちらも馴染みのある機体です(空軍機であるE型がなぜ空母から発艦しているのかは謎)。
塗装にあたってTOMYTEC社の彩色済みプラモデル”技MIX”シリーズで発売されている「F-4Eメビウス1」を参考にしました。
本体色はMr.カラーの14(ネービーブルー)、65(インディブルー)、323(ライトブルー)、64(ルマングリーン)を調色しています。下面は記憶が定かではありませんが、ガイアカラーのホワイトだったと思います。
総評
非常に思い入れのあるゲームだったために発売のアナウンスがあったときは大変嬉しかったことを覚えています。
大型かつ平面的なシルエットは1/72スケールながらかなりの存在感があります。ゲーム中に登場した各機体用のデカールが付属する点はファンアイテムとして非常に価値のあるアイテムです。限定生産のため入手しにくいキットですが、エースコンバット04ファンなら強くお勧めしたいキットです。