【キットレビュー】タミヤ 1/700 航空母艦 隼鷹

今回紹介するキットはタミヤの1/700スケールキット 隼鷹(じゅんよう)です。

隼鷹は日本海軍の航空母艦であり、もともとは商船「橿原丸」だったものを空母へ改装した船になります。

日本海軍の航空母艦の命名規則は鳥や龍など空を飛翔するものに由来した合成語を使用しており、隼鷹とはその名の通り猛禽類のハヤブサ、タカを指す言葉です。

海軍の公式資料では、隼鷹は隼鷹型航空母艦1番艦とされていますが、隼鷹の姉妹艦には飛鷹という航空母艦があり、飛鷹の建造番号が1001号艦、隼鷹が1002号艦であったため、飛鷹型航空母艦2番艦とする資料もあります。

隼鷹について

隼鷹の前身となる橿原丸はサンフランシスコ航路のために起工された大型高速客船であり、商船としては日本最大規模の船舶でした。旅客機が未発達の当時、海外旅行は船で行くものであり、豪華客船の建造は各国で盛んにおこなわれていました。

かねてから日本海軍は大型高速商船を戦時における船舶確保のために政府を通じて補助を与えており、戦時には空母へ改装することが条件となっていました。隼鷹もこの補助の適用により、建造費の6割を援助されて建造されました。

こうした背景から船体の規模や速力のほか、3か月以内に空母へ改装できることなど、空母への改装を前提とした設計が取り入れられました。

橿原丸は1939年3月から三菱長崎造船所で建造が始まりました。しかし、国際情勢の悪化を受け、1940年11月に建造中だった橿原丸を特設空母へ改装することが決まりました。翌年の1942年1月に海軍が正式に買収、1943年5月に隼鷹として竣工しました。

航空母艦の中では中型の蒼龍を上回る大型艦ですが、速力は25.5ノットと正規空母にはやや劣るものでした(蒼龍の速力は34.5ノット弱)。

外見的な特徴として艦橋と煙突が一体型になっていることが挙げられます。この煙突は当時建造中だった大鳳型航空母艦に採用する予定で実験中だった案を利用したもので、日本の空母としては隼鷹が初めて搭載したものになります。

商船からの改造空母のため、正規空母に比べて防御力や速力は劣りますが、装甲や武装は蒼龍級を基準にしており、総合的な性能は蒼龍級に匹敵する能力を持つとされました。

隼鷹は竣工と同時に第四航空戦隊に編入、5月20日にアリューシャン方面作戦に参加、6月には初陣のダッチハーバーを攻撃しました。これまで特設航空母艦とされていましたが、7月には正式に軍艦籍に加入、軍艦 隼鷹となり、呉鎮守府の第二航空戦隊に編入されました。同年の10上旬からソロモン方面へ進出し、ガダルカナル島攻撃、南太平洋海戦、第3次ソロモン海戦、ガダルカナル島撤収作戦などに参加しました。

1943年には飛行隊をラバウルやブインへ派遣し搭載機が無くなりますが、その間は輸送任務に従事することになります。同年11月、輸送任務中の隼鷹は豊後水道近海でアメリカ海軍の潜水艦の待ち伏せに遭います。この際に魚雷を受け損傷、利根に曳航され呉へ帰投することになりました。

隼鷹は1944年2月に呉での修理を終えて戦線に復帰しました。第二航空戦隊旗艦として6月にはマリアナ海戦に参加しますが、この戦いで煙突付近に命中弾を2発浴び、飛行甲板も至近弾6発を受け損傷、呉の近くの柱島泊地へ修理のために帰投することになりました。

修復後の隼鷹は搭載する飛行隊が各方面に転用されてしまい、ブルネイやマニラ方面で輸送任務に従事することになります。12月に台湾から日本へ帰投中にアメリカ海軍の潜水艦3隻の襲撃を受けます。この中で右舷機械室に魚雷が命中し機関部を損傷しますが、沈没を免れ佐世保への生還を果たしています。

1945年3月、隼鷹は船体部こそ修理されたものの右舷機械室は修理されず、佐世保の恵比寿湾で対空砲台として繋留放置され、そのまま一度の空襲を受けないまま終戦を迎えました。

隼鷹は太平洋戦争を生き延びた商船改造艦艇の中で最大の船舶でしたが、商船へ復帰することなく1947年8月に解体完了となりました。

キットについて

このキットはタミヤから2400円(税抜き)で発売されています。

1973年4月にファーストロットが発売されてから金型をリニューアルをせずに発売されています。そのためバリなどが目立ちますが、パーツの合いは良好で年代を感じさせない出来になっています。

エレベーターは昇降状態を選択可能で船内の格納庫もある程度再現されています。同世代のキットと比較するとモールドや組みやすさなど抜きんでた存在だったのではないでしょうか。細かい部品を取り付けるためにピンセットとして使用できるパーツが付属しているのは面白い点です。

製作にあたってはこれまでの艦船同様、モデルカステンのメタルリギングを空中線に使いました。空母なのでマストに少し張るだけなので巡洋艦や戦艦への張り線とは労力が大分違います。

空母はパッと見ると飛行甲板だけなのでお手軽かと思いきや、対空機銃や高角砲などもそれなりの数が用意されており、作りごたえは思いのほかあります。銃座の柱が船体側についているので固定に苦労することはありませんでした。

艦載機は適当にチョイスしました。

総評

発売からかなりの時期が経っているキットですが、ストレスなく組むことが出来ました。

商品発売日から見るとレトロキットの部類になりますが、上部構造物が少ないためか年代を感じさせない出来です(この記事の作成にあたりファーストロットの発売日を知って驚いたほどです)。

製作にはそれほどハードルは高くない一方、艦載機やレーダー、左舷にある起倒式クレーンなどディテールアップする余地も残されており、始めたての方から上級者まで幅広いモデラーにお勧めしたいキットです。