【キットレビュー】タミヤ/イタレリ ミラージュ2000

今回紹介するキットはタミヤの1/72スケールキット、ミラージュ2000です。

エースコンバットシリーズやエアロダンシングシリーズなどのフライトシューティングゲームでも度々登場するほか、フランス版トップガンと呼ばれる映画『ナイト・オブ・ザ・スカイ』ではこの機体を中心に物語が展開していきます。

ミラージュ2000について

ミラージュ2000はフランスのダッソー社にて開発された第4世代ジェット戦闘機です。F-14,F-15,F-16,MiG-29などがいる同世代の中ではF-16と同程度のサイズの小型軽量な機体です。

左:F-16 右:ミラージュ2000

水平尾翼を持たない代わりに機体の後部まで広がる三角形の主翼を持つ、いわゆる無尾翼デルタ方式を採用している機体形状が目を引きます。

ダッソーは1956年に無尾翼デルタ機であるミラージュⅢを開発して以降、デルタ翼機の開発を熱心に行いました。

オーストラリア空軍のミラージュIII(wikipediaより引用)

デルタ翼は加速性や高速飛行時の機動性に優れる反面、大きな迎え角を取った際に揚力を失い操縦が難しくなるという性質があったため、離陸性能や低空時の機動性が主翼と尾翼を持つ二翼式に劣る欠点をしばらくの間解消することができず、1973年にフランス軍へ納入した戦闘機、ミラージュF1は二翼式の保守的な設計で、1950年代の戦闘機と比較しても見新しい進歩が見られない機体でした。

フランス空軍のミラージュF1C(wikipediaより引用)

1975年にフランスはNATOに加盟する4か国への戦闘機導入商戦にて新型エンジンに換装したミラージュF1を提案しました。しかし、この商戦に勝利したのは革新的な技術を多く導入したアメリカのゼネラル・エレクトリック社のF-16でした。

この商戦に敗れたフランスとダッソーは翌年の1976年、自国の次期戦闘機計画を開始します。この中でデルタ翼機に先祖返りする一方、F1で採用されなかった技術をふんだんに盛り込んだ結果、誕生した機体がミラージュ2000です。

ミラージュ2000ではF-16同様、操縦桿の入力を電気信号に変換したうえで操縦翼面を操作するフライ・バイ・ワイヤシステムにより、操縦をリカバリーする仕組みを取り入れました。これにより過去のデルタ翼機よりも低速時の安定性や操縦性が高められました。

セールスにおいてはF-16には及ばないものの、インドやアラブ首長国連邦、台湾、ギリシャなどへの輸出に成功しました。

キットについて

タミヤのウォーバードコレクションシリーズから発売されています。

このシリーズは主にイタリアのプラモデルメーカー、イタレリ社の製品をタミヤがパッケージしていますが、中にはタミヤが独自に開発したキットも含まれており、シリーズ内でクオリティのバラつきが大きい印象です。

イタレリ社の特徴としてモールドが少し太めで、かつ彫りが浅いことから「シャープさにかける」、「運河彫り」なんて呼ばれることもあります。開発中の最新鋭機なども早く立体化するため、考証が適当だったり実機(量産機)と異なるケースもちらほらあります。

デカールは少し厚めでツヤが目立つので艶消しクリアーを仕上げに吹くと良いと思います。(写真のキットでは仕上げのトップコートはしていなかったと思います)

イタレリらしいあっさりした作りですが、ミラージュの特徴をうまくとらえられているほか、ドロップタンクやミサイル類も充実している点がポイントが高いです。

説明書も非常にシンプルで完成までの道のりがイメージしやすいですね。

ミラージュ2000Cは基本的にグレーとブルーの2色迷彩なので、説明書通りに作ろうとした場合、一番ネックになるのは迷彩塗装かもしれません。

総評

当たり外れがある同シリーズですが、ミラージュ2000はオススメできる部類のキットだと思います。組み立てやすさや入手性の良さでこのキットに勝るミラージュ2000がないからです。

家電量販店で1,000円出せばおつりが返ってくるので、気軽に購入できるのは嬉しいポイントです。初めて飛行機のプラモデルを作る方にもオススメできるキットです。