今回ご紹介するのはアオシマより発売された1/700スケールキット、すずつきです。ネームプレートはイエローサブマリン秋葉原本店で購入したものです。
すずつきはあきづき型護衛艦の3番艦です。艦名は公募の結果、帝国海軍で運用されていた秋月型一等駆逐艦の3番艦「涼月」より引き継いだものが採用されました。
あきづき型護衛艦は艦隊防空をコンセプトに開発されましたが、先代の秋月型一等駆逐艦もまた、防空能力に優れた艦級として知られています。この「あきづき」の艦名を関した艦船は1961年から1993年にかけて就役した指揮護衛艦のあきづきに続いて2代目となります。
あきづき型護衛艦とは
あきづき型護衛艦はむらさめ型、たかなみ型護衛艦に続く汎用護衛艦(DD)としてネームシップとなるあきづきに加え、てるづき、すずつき、ふゆづきの計4隻が建造されました。
これまでのステルス性を考慮した形状は継承しており、船体と上部構造物の傾斜はむらさめ型の7度から10度へ変更されたほか、ラティスマストを廃止し、あたご型と同じ構造を持つステルス・マストへ変更されています。
艦橋とヘリコプター格納庫上部に設置されている白い四角形はFCS-3Aのアンテナです。
FCS-3Aとは射撃指揮装置とレーダーを組み合わせた艦載武器システムのことです。脅威となる目標を自動で捜索、追尾、探知し、自動化された武器管制により対処することが可能です。
ヘリコプター搭載護衛艦のひゅうが型から搭載されたシステム(FCS-3)ですが、このあきづき型ではひゅうが型に搭載されたものより出力の強化と広帯域化が図られました。これにより自艦のみならず、僚艦の防空任務を請け負うことが可能になります。
本来防空任務を請け負うイージス艦がミサイル防衛任務にリソースを割かれた場合、通常の航空戦力に対して脆弱となるため、これをカバーすることが本艦の役割となります。
このほかにもあきづき型は護衛艦として初めて魚雷防御装置を搭載しています。自走式のデコイ(囮)と投射型の音響欺瞞装置を装備したことで対潜能力が向上しています。
主砲は62口径5インチ単装砲が採用され、従来の54口径単射速射砲より発射速度は低下したものの、射程が延伸されたことで対地・対水上射撃能力が強化されました。
キットについて
アオシマより2014年6月に2,400円(税抜き)発売されました。量販店などでは2,000円前後で入手できると思います。
ランナー単位で色分けされていて、基本色のグレーを基本に、ハル(船底)の黒、アンテナの白、艦橋部のクリアーが再現されています。塗装をしなくてもある程度再現できるよう配慮されている印象を受けます。
色分けはされているものの、パーツ点数は船体のボリュームを考えると若干多めで、細かいパーツもあるため、完全な初心者向けというものではなさそうです。
説明書はひとつひとつの図が大きく、組み立てやすい印象です。また、船体に装備している機器類の説明が詳しく記載されており、護衛艦にあまり詳しくない人も製作を進めていく中で理解を深めることができます。
なぜか記載が「てるづき」になっています。次のロットでは修正されているのでしょうか。
総評
各部にヒケが見られるものの、パーツのモールドの精密感は最近作られたキットだけあり良好な印象です。
エッジの多い角ばった上部構造物ですが、面構成が複雑なため完成を急いで手早く組もうとすると歪んだり隙間ができたりします。接着剤が完全に乾くのを待って、丁寧に組むことをおすすめします。
今回はパーツ同士の接着で少々苦戦してしまい、接合部のエッジがやや甘くなってしまいました。
このキットに限らず、現代艦は上部構造物の面出しをしっかりすることで見栄えがグッと良くなるので、抑えておきたいポイントです。
少々出来が粗くなってしまたものの、それなりに見えるのはキットの素性が良い証拠だと思います。