【アイテム紹介】ハンドピース

エアブラシは塗料を入れて吹き付けを行なう「ハンドピース」とエアを送り出す「コンプレッサー」、またはガス缶から成り立っています。ムラのない薄い塗膜を吹き付け塗装できるほか、エアブラシの使い方次第で多彩な表現ができます。

筆やスプレーと違い模型や美術に疎い人からは馴染みのない道具であることから、高等テクニックが使える上級者向けのアイテムというイメージを持たれている方が見受けられます。
しかし、筆塗りの方が高度な技術を求められますし、スプレー缶は単一の色を一定の太さでしか出力できないため道具として制限がエアブラシより多いです。
基本的な使用法や調色のコツをおさえれば安定してキレイな塗装を行なえるため、エアブラシは是非オススメしたいアイテムです。
エアブラシのハンドピースにクローズアップして、ハンドピースの種類と特徴を以下にまとめてみました。

ハンドピースの種類

シングルアクションとダブルアクションとトリガータイプ

噴射ボタンを缶スプレーのようにボタンを押すことで塗料が噴射されますが、この機能のみのものをシングルアクションと言います。シングルアクションは缶スプレー同様、塗料の量をコントロールできませんが、広い面積を塗装する際に安定した吹き付けを行なうことができます。構造が単純で操作が簡単ということもあり、GSIクレオスのプロスプレーシリーズなどのエントリーモデルに広く採用されている方式です。

GSIクレオス
プロコンBOY SAe シングルアクション
参照: http://www.mr-hobby.com/itemDetail.php?iId=26

この噴射ボタンを押し込むことでエアを前後に動かすことで塗料の噴射量(=太さ)をコントロールできるものをダブルアクションと言います。シングルアクションのエアブラシもボタンとは別に設置されたダイアルなどで噴射量をコントロールできますが、ダブルアクションの方が塗装作業を止めずに行えるためお手軽です。

GSIクレオス
プロコンBOY WAダブルアクション 0.3mm
参照: http://www.mr-hobby.com/itemDetail.php?iId=22

シングルアクションとダブルアクションは噴射ボタンがハンドピース上部に備え付けられていますが、この噴射ボタンが引き金状になっているものがトリガータイプです。トリガーを引く深さによって吹き付け量を調整できるほか、長時間使っても疲れにくいというメリットがあります。人によっては吹き付け箇所が狙いやすいという特徴がありますが、引き金の微妙なコントロールは人を選びます。

ドロップ式と吸い上げ式

塗料の供給方法はタンクを上部に設置するドロップ方式と下部に設置する吸い上げ方式の2点があります。

タミヤ
スプレーワーク HG シングルエアーブラシ
参照: https://www.tamiya.com/japan/products/74519/index.html

ドロップ方式のなかでもカップがハンドピースと固定されているイモ付け式、取り外しができる着脱式があります。着脱式は上方から取り付けるタイプと横から取り付けるタイプに細分化されています。
ドロップ方式は塗料を無駄なく使うことができるほか着脱式のものはカップを大容量のものに変更できるものもあります。

GSIクレオス
プロスプレーMk-6
参照: http://www.mr-hobby.com/itemDetail.php?iId=1841

吸い上げ方式は懸垂式とも呼ばれています。
エアの吹き出し口の下方にビンが取り付けられており、このビンはGSIクレオスやタミヤから発売されているラッカー系塗料のビンと同規格のため、(希釈さえ行えていれば)ビンを移し替える手間がないという特徴があります。吸い上げ方式は吸い上げるためのストロー状のパーツやノズルの手入れが面倒なのでドロップタイプがお勧めです。

おすすめのエアブラシ

エアブラシを初めて導入する場合、高いものを買って失敗したくないという気持ちがあるため、安価な製品を検討してしまいがちですが、エアブラシのメリットをフル活用したい場合はある程度の出費が必要だと思います。

ドロップタイプのダブルアクション。口径は0.3mmのスタンダードなものをお勧めします。
ドロップタイプのものは吸い上げ式のものに比べて塗料を使い切ることができるほか、構造が単純で手入れがしやすいものが多いです。
ダブルアクションをおすすめする理由は先述の通り、塗装作業を止めずに噴射量をコントロールできるためです。

口径は0.3mmと0.2mmの2タイプあります。
メタリック塗料などの微細な金属粒子を含んだ塗料やサーフェイサーなどはノズルに詰まりやすいため、まずは汎用性の高い0.3mmを使用することをお勧めします。
メーカーはアフターケアやオプション品が充実している国内メーカーのものが良いと思います。ネット通販などで価格の安い海外製品も入手可能ですが、エアーホースの互換性やサポート面を考慮すると流通量の多い大手製品を購入した方が安心です。

初めて使う時に注意したい挫折ポイント

かつて安価なハンドピースを購入したことがありますが、うまく取り扱うことができず、導入を諦めたことが2度あります。自分の場合は以下の2つが主な原因でした。

塗料と薄め液の調合に失敗

エアブラシはビンに入っている塗料を直に使うこと(いわゆるビン生)はせず、塗料と薄め液を混ぜて粘度を調節したうえで吹き付けます。
薄め液との調合が上手くいかないと糸状に塗料を吹いたり、色が薄く塗膜が弱い塗料を吹きます。この濃度調節をうまくできず、心が折れたことがあります。
雑誌やメディアなどでは、〇:〇といった塗料と薄め液の混合比を示していますが、一度使用した後にビンに戻してしまうと割合は変わりますので気を付ける必要があります。
私の場合、塗料皿で塗料と薄め液を混ぜた後、塗料がこぼれない程度に傾けてから水平に戻しています。この時の塗料の粘度や塗料皿の透け具合を見て濃度を判断してます。
適切な混合比の状態を把握し、ハンドピースにセットする前にチェックすることを心がけましょう。

ガス缶切れ

エアブラシの動力源としてガス缶を使用する方法がありますが、正直お勧めできません。エアブラシのメリットであるランニングコストの低さが活かせないからです。
エアブラシを初めて買った際に付属のガス缶を使いましたがハンドピースがうまく機能せず、先述の塗料と薄め液の調節や動作確認を繰り返している最中にガスがなくなってしまいました。
コンプレッサーの方が動力源として安定しており、長い目で見るとコストが安いため、エアブラシを導入する場合はコンプレッサーの導入も視野に入れておきましょう。

何事もそうですが、勝手がわからないうちは色々と苦労します。初めてエアブラシを扱う際、上手く機能しない場合は以下の3点を中心に確認しましょう。
・塗料の濃度は適切か
・ノズルに詰まりはないか
・空気が噴出されているか

次回はコンプレッサーと塗装ブースについて紹介したいと思います。