【アイテム紹介】サーフェイサー

今回は塗装の下地について掘り下げてみたいと思います。

キレイに塗装しようと思うと気になるのが塗料の発色です。薄い色の成型色に塗装するのであれば特に気にならないでしょうが、成型色が濃かったり、塗装を重ねていく場合などは下地の色の影響を受けやすいものです。そんな時はサーフェイサーを使用します。ネットやSNS界隈では略称である「サフ」で呼ばれることの方が多いですね。

サーフェイサーは化粧の白粉(おしろい)のような役割を持ち、塗装前に下地として塗ることでいくつかのメリットがあります。

塗料の発色が良くなる/色を揃える

黄色や白の塗料は隠ぺい力が弱く下地が透けやすいため、成型色の色が濃いと透けてしまうという問題があります。サーフェイサーは隠ぺい力が強いことに加え、塗料の食いつきを良くするはたらきがあります。

またサーフェイサーは色を揃える役目を持っています。
異なる複数のキットを組み合わせて一つの完成形を作る改造手法をミキシングやニコイチ、サンコイチなどと呼びますが、元は別々のキットのため成型色が全く異なるケースもあります。こうした場合、成型色に引っ張られて完成形が上手くイメージできないときがあります。こんな時も色を均一にすればイメージしやすいですし、塗料の発色も均一になります。

サーフェイサーは薄いグレーや白色のものが主流ですが、中には肌色や黒色のものもあります。これは塗装する色の一段暗い色として塗ることでグラデーション塗装も同時に行なえるようにするためです。フィギュアには肌色系を、メカ物には黒や暗いグレー系を使うことで下地の塗装を省くことができます。

薄い色の塗装で色付きのサーフェイサーを使用すると、下地が透けてしまい、発色に影響が出てしまいます。黄色やグラデーションのない白色の塗装の際は白色のサーフェイサーを使うことで鮮やかな発色が期待できます。

キズを見つける/埋める

サーフェーサーは通常の塗料と違い、パテの成分を微量に含んでいます。このパテの濃度によって番手が存在します。数字が小さいほどパテが多く含まれています。

プラモデルを作る際、ヤスリがけを行うとその研磨跡が表面につきます。これもキズの一つであり、通常はヤスリの番手を上げて目立たなくさせますが、自分では処理したと思っていても塗装後に研磨跡が思いのほか目立つケースがあります。

サーフェイサーを使えば、穴や大きなキズを見つけやすくなるほか、研磨跡などの小さいキズは埋めてくれますので、気泡などが発生しやすいガレージキットの穴埋め作業などでも重宝します。

サフの吹き方

サーフェイサーはパテの成分を含んでいるため、通常の缶スプレーの距離(20-30cm)だと乾燥している面に乾燥したパテの粉末が付着し、ザラついた表面になることがあります。

サーフェイサーを吹くときは通常の缶スプレーより少し近めの距離(10cm程度)を意識し、乾燥していない塗面に吹き付けるようにするとパテが溶けてくれます。近くから吹く分、塗料が垂れやすいため、素早く動かすよう気を付けましょう。

番外編:プライマー

ガンプラの関節部のポリパーツに代表されるように、プラモデルには金属パーツやABS樹脂など、スチロール樹脂ではない材質が含まれていることもあります。こうしたパーツは材質の違いから塗料が剥がれやすかったり、表面を痛めてしまったりすることがあります。

ABS樹脂はラッカー系/エナメル系の溶剤と相性が悪いため注意が必要です。ABS樹脂と知らずに塗装して、エナメル塗料などでスミ入れをするとさらに脆くなるリスクを高めてしまい、完成後に関節を動かそうとして塗料に侵食されて脆くなっていたパーツがポッキリ折れるケースもよくあります。もはや通過儀礼と言っても過言ではありません。

このような材質には下地としてプライマーを使うことで塗料の食いつきをよくすることができます。塗装の前に筆などで塗布して使います。

私が使用しているのはガイアノーツのマルチプライマー(写真左)です。スチロール樹脂以外の材質に対しては、このマルチプライマーをエアブラシで吹き付けてから塗装を行なうようにしています。エアブラシで吹き付ける際は薄めずに原液で使用することができます。