【アイテム紹介】ニッパー

ニッパーについて

プラモデルを作るときに必要なものは色々ありますが、その中でも真っ先に思い浮かぶのはニッパーではないでしょうか?

ニッパーはプラモデルをランナーから切り離す際に使われます(ちなみにラジオペンチは形は似ていますが、使用用途が異なります)。道具の中でも重要な位置づけとなるため、各社から発売されています。切れ味を重視したものや、細かいパーツの切り離しに適したものなどあります。

ゴッドハンドのアルティメットニッパーが有名ですが、これは刃物で有名な新潟県の燕三条市の職人さんが丁寧に刃付けと刃研ぎを行う工程が加えられています。切り離したパーツのゲート跡が残らないほどの切れ味のよさを誇るアイテムであり、本体の他にもメンテナンスに必要な手入れ用品も併せて発売されており、良質な状態を長く保つことができます。

しかし、質が良い分、値も張ります。学生さんをはじめ休日たまにプラモをちょこっと作りたいという方やこれからプラモを作ろうと色々道具を揃えはじめた段階の方が気軽に手を出せる価格ではないのが玉に瑕です。

加えて、切断能力の条件は直径3mm以下、透明・半透明のPS樹脂は直径1mm以下に指定されています。余ったランナーを処理するときや海外製プラモデルの太いゲートを処理する際に気を遣ってしまうことあり得ます。

私は子供の頃、ミニ四駆で遊んでおり、そのころにタミヤのベーシックツールセットを買ってもらっていたため、このセットの中のニッパーをはじめは使っていました。
その後、このニッパーのトーションバネが折れてしまったため、切れ味の良さを謳うものや安価なものを含め、色々な商品を試しました。当時はネットがそこまで普及していない時代だったので量販店や模型店に行って気になったものを買ってトライアンドエラーを繰り返していました。
その結果、ニッパーを選ぶ際は以下のポイントをおさえるようにしています。

  • 模型用であること
  • 良好な切れ味を持つこと
  • 軽くて持ちやすい形状であること
  • バネがトーションバネ(ねじりバネ)ではなく、圧縮バネであること

ポイント1:模型用であること

まず模型用であること。これは外せません。

ホームセンターなどで発売されている日曜大工向けのニッパーは家にあるので代用できそうな気もします。 しかし、刃先が大きく細かいパーツが切り出せない、重くて作業中に疲れてくる、切断面が汚い、バネがないため使いにくいなど、用途が異なるため当然ですが、作業に弊害が出ます。配線工事などで使用されるニッパーは模型用として設計されていないものの、たまに量販店などでは模型用コーナーに置いてあったりしますので気を付けましょう。

ポイント2:良好な切れ味を持つこと

配線工事用や安価で造りが粗いものの場合、力で断ち切るような切り方のものもあります。細かいパーツなどは最悪の場合、切り離しの衝撃で破損します。信頼のあるメーカーから発売されている専用ニッパーなら大きく間違うことはないでしょう。

ポイント3:軽くて持ちやすい形状であること

ポイント1で触れましたが、模型用ニッパーでない場合は重くて大きく、パーツを切るのに力が必要なケースもあります。「重さは気にならないよ」と思う方もいらっしゃると思いますが、プラモデルのパーツ数は何十点もあります。1つのパーツに2~3個のゲートの切り離しが必要なので自分にあったニッパーでないとやはりそれなりにストレスになります。 重さ以外にも手の小さい方は大きさや握りやすさも考慮しましょう。店頭などで実際の大きさを確認することをオススメします。

ポイント4: バネがトーションバネ(ねじりバネ)ではなく、圧縮バネであること

トーションバネ方式のバネ。製品によっては強度が弱く、折れてしまうことがあります。

これはニッパーの作動方式について述べたもので、個人的にはとても大事だと思っているポイントです。 トーションバネとはばねの両端がまっすぐに延びた形状のものです。作動原理はまっすぐに伸びた延長部に力が加わると元に戻ろうとする力が発生します。この力を利用して閉じたニッパーを開くというものです。

どこの商品だったかは忘れましたが、パッケージに「抜群の切れ味!」みたいなキャッチコピーのある商品があり、小学生ながら頑張って大金(多分1500円位。その頃の自分にとっては大金だったのです。)はたいて買ったものの、切れ味は普通、加えてトーションバネが2,3個キットを作成した時点でにポッキリ折れるという悲しい経験をしました。

この悲劇を数度繰り返した結果、ニッパーを買うときはこの開閉方式をチェックするクセが身につきました。あくまでこのようなケースは極端な例で、トーションバネ=買ってはダメということではありません。大手メーカーでもトーションバネ方式で発売していますし、私ほど気にする必要はないと思います。 なかには板バネ式の物もありますが、買ったことがないため使用感は分かりません。いつか試してみたいですね。

タミヤの定番製品で問題なし

私は今のところ、タミヤの薄刃ニッパー(ゲートカット用)を10年ほどメインに使っています(※タミヤの薄刃ニッパーは2種類発売しています。上記商品(品番74035)の他に先細薄刃ニッパー(No.123,品番74123)もあるので混同しないように気を付けましょう)。

タミヤが発売している模型専用ニッパーとしては定番の商品です。タミヤの公式HPにも記載がありますが、このニッパーも刃先の仕上げには熟練工の手が入っているとのこと。普段使いにおいて切れ味に関しては不満を感じたことはありません。

特殊ゾルコーティングという仕上げがグリップにされており、これまで塗料の付着や経年劣化によるベタつきはありません。開閉はバネの圧縮方向に反発力を生む圧縮バネ、今でも開閉動作に支障はありません。定価で2,900円、実売価格で2,500円前後といったところでしょうか。これくらいの価格ですと気兼ねなく使い倒せます。タミヤ製品のため流通量が多く調達しやすいこともメリットの一つですね。

このニッパーひとつでたいていの切り離し作業はこなせます。どのニッパーを買おうか迷っている方にはオススメしたいアイテムです。ニッパーに限らず模型用品の品選びで迷ったらタミヤ製品をベンチマークとして買ってみると良いでしょう。