【キットレビュー】ハセガワ 1/72 F-2A

ハセガワ F-2Aが完成しましたので、実機の紹介とともにレビューしていきたいと思います。

実機の紹介

この機体の誕生のきっかけは1982年7月の国防会議で了承された「昭和56年度中期業務見積」の中で支援戦闘機24機の整備が盛り込まれたことから始まります。

当初、試算された耐用年数より、F-1支援戦闘機が1990年から寿命を迎え始めるとされたため、F-1の後継機「FS-X」を調達が計画されました。

1985年に提示された運用要求は以下の通りです。

  • 空対艦誘導弾4発を装備した状態で戦闘行動半径450海里を有すること
  • 短距離空対空誘導弾と中距離空対空誘導弾をそれぞれ2‐4発装備できること
  • 全天候運用能力
  • 高度な電子戦能力

上記の要求と同時にF-1の耐用年数の見直しにより、10年の猶予が生まれたため、国内開発の選択肢が生まれることになりました。

エンジンを輸入し、エンジン以外を国内開発する方向で調達計画は進められましたが、日米貿易摩擦の影響からエンジンのみを調達することが出来ず、アメリカとの共同開発を行うことになりました。

1990年に日米合意によってFS-Xは開発がスタートしました。外観から分かる通り、F-16をベースにしているものの、三菱重工業によって航空自衛隊の運用に合わせた大幅な再設計をなされています。レドームの改修、胴体部の延長、主翼面積の拡張、キャノピーの分割構造など、F-16の図面の95%以上に変更が加えられました。

このような経緯でF-2は開発がすすめられ、1995年の初飛行を経て、1996年に調達が始まり、94機が生産されました。

キットについて

ハセガワのE帯より発売されている定番商品です。

このキットでF-2A,F-2Bの2種類を選んで組み立てる仕様になっています。単座用のパーツ、複座用のパーツが収められているほか、各種ミサイルも同梱されており、箱を開けるとランナーがギッシリ詰まっており、ボリューム感のある内容になっています。

パーツの合いは良好です。当初、機体の製作がスムーズに進んだため作りやすいイメージを受けましたが、製作を進めるにつれて「あれ?」っと思う部分も出てきたので挙げたいと思います。

まずはエンジンノズル、内部のモールドが再現されず、ツルッとしています。

結構見える場所なので気になる人はモールドを彫るなどの対応が必要です。私はタミヤのウェザリングマスターでススっぽい表現のみ加えました。

次にエンジンインテークですが、奥行きがなく、壁が外から見えています。もう少し奥まで再現してほしかったなと思います。

製作記にも書きましたが、キャノピーの目立つ位置にパーティングラインが走ってます。細かい研磨作業が苦手なので、クリアパーツの処理には気を遣いますね。

対艦ミサイルについても、付属すること自体は大変有難いのですが、安定翼の接着についてもう少し角度などが安定できるとより嬉しいなと感じました。

また弾頭部を銀色に塗り分ける必要があるのですが、モールドなどがないため、塗り分けの範囲がハッキリせず苦労しました。銀色を塗装後、弾頭部を丸形のマスキングシートでカバーしてから全体を塗装しました。

ライトニングストリップ(機首部の線)や、主翼翼端のねじり下げなど、実際の量産機とはやや細部が異なるほか、機体の洋上迷彩やウォークウェイラインのデカールなど、気の抜けない箇所が多い印象を受けました。

いくつかネガな点を挙げましたが、各種兵装を装備した完成後のF-2を見ると「作ってよかったな」と思える迫力がありますね。ロービジの現用機ばかり作ってると棚がグレー一色になりがちですが、F-2の綺麗なブルーは良いアクセントにもなりますね。