【キットレビュー】タミヤ 1/35 チャレンジャー1 (Mk.3)

今回はタミヤの1/35スケール、イギリス陸軍主力戦車 チャレンジャー1 Mk.3の紹介です。過去の作例を載せつつ、実機とキットの紹介をしていきたいと思います。

チャレンジャー1とは

イギリスが開発した第3世代主力戦車です。
第二次世界大戦後の冷戦期に突入すると各国は戦争に備えた軍備の拡張が始まり、イギリスでも攻撃力、防御力、機動力に優れた戦車の開発が求められ、センチュリオン戦車の発展型であるチーフテンが1967年に誕生しました。
120mmライフル砲を装備し、最も装備が充実した戦車と呼ばれていましたが、エンジンの信頼性が欠けていました。

このチーフテンの改良型として1983年に登場したのがチャレンジャー1です。
主要武装や車体構造はチーフテンの影響を色濃く受け継いでいますが、弱点であったエンジン、サスペンション性能が大幅に向上しているほか、チョバムアーマーと呼ばれる複合装甲を使用している点もこの戦車の特徴です。

チーフテンはもともと防御性能に定評がありましたが、1970年代になると対戦車兵器の能力が著しく発達したため、この対策を講じる必要が出てきました。
従来の戦車に使用される装甲は均質圧延鋼板という鉄板が主流でしたが、この装甲材はセラミックや特殊繊維などの複数の異なる素材を組み合わせたものです。この装甲材を用いることでチャレンジャー1の装甲強度は厚さ1メートルの鋼鉄に匹敵すると言われています。

エンジンは液冷4ストロークV型12気筒ディーゼルエンジンを採用し、最大出力は1200馬力、最高時速は56km/hになります。前身のチーフテンの最大出力750馬力、最高時速48km/hから大きく向上することができました。

1990年8月20日イラク軍のクウェート侵攻に端を発した湾岸戦争では、第7機甲旅団のチャレンジャー戦車180両がサウジアラビアに投入されました。夜間戦闘時にTOGS(熱線式砲手用照準装置)を用いて一方的にイラク軍の戦車を撃破したり、当時の命中限界である3,000mを超え、4,000m先の戦車を撃破したことで有用性を実証しました。その後、砲塔を中心に改良が加えられたチャレンジャー2に交替、退役となりました。

キットについて

このキットはチャレンジャー1の中でも第3次生産型(Mk.3)にあたるもので、湾岸戦争に派遣された際に砂漠仕様とするために熱気および防塵処理が施された冷却器やエアクリーナーのほか、外部燃料タンクや側面に複合装甲を、前面にリアクティブアーマーを装備したデザートチャレンジャーと呼ばれるものになります。

実機についてあまり知らなかったのですが、パッケージのゴテゴテ感が気に入って買いました。塗装やパーツを選択することで通常のデザート仕様の他にNATO軍仕様の2種類を組み立てることができます。

AFV2作目ということで経験が浅いため、ウォッシングに挑戦することを課題にしました。薄い色の車体で上部や側面の装甲板の面積が広いため、汚れやサビなどの表現が良く映えそうというのもこのキットを選んだ一因です。このためグラデーション塗装にウォッシングをしたのみです。

履帯はゴム製で説明書には熱したドライバーやはんだごてで接合部を溶かすよう指示がありますが、ABS用接着剤で接着することも可能です。

砲身は上下にスイング可能です。なお、砲身の塗装が説明書と違いますが、写真を見たのか指示を見てなかったのか覚えてません。記事の投稿にあたり資料映像など見返しましたが、必ずしも説明書通りのカラーリングではなかったのでとりあえずこのままとしました。

リアクティブアーマーや複合装甲板のほかにタンクやバスケットなどの小物も多く付属しています。

総評

1/35スケールの戦車全般に言えることですが、その大きさ故に製作中も完成後もスペースをかなり取ります。

同スケールの74式戦車との比較

大柄な車体やホイールの数、追加装甲に小物類とかなりのパーツ数に加えて、ビス止めや透明なプラ板、メッシュなどの色々なマテリアルも付属するためとてもボリュームがあり、作りごたえがありました。

メッシュパーツを使ったバスケットの製作は瞬間接着剤で行いました。初めての作業でしたが、メッシュの切り出しを慎重に行なえばそれほど難易度は高くありません。パーツの合いも良好で大きなストレスなく組むことができました。

パーツ数の多さや複数のマテリアルが含まれるため、ある程度AFVに慣れてから手を付けたほうがキットの魅力を引き出せるかもしれません。現用戦車のカッコよさが凝縮されており見どころ満載のキットです。