【キットレビュー】レベル 1/72 クフィル C.2

製作を進めてきたクフィルが完成しましたので改めてご紹介したいと思います。

実機について

クフィルはイスラエルのIAI(イスラエル・エアクラフト・インダストリー)が開発した戦闘機です。クフィルとはヘブライ語で若獅子を示します。

1960年代にイスラエルはフランスのダッソー社のミラージュⅢを主力戦闘機としていましたが、第3次中東戦争を機にフランスからの武器輸出が途絶えることになりました。

イスラエルの航空機メーカー、IAIはミラージュⅢの簡易版ともいえるミラージュ5のライセンス生産の契約を結んでいました。これに第三国経由で入手したエンジン(アター9C)の図面を基に製造し、組み合わせることでミラージュの独自生産、ネシェルの開発に成功します。

アター9Cの性能に不満だったIAIは、ネシェルのエンジンをアター9CからJ79へ換装させました。このJ79はF-4Eに使用される大出力エンジンであり、飛行性能や武装搭載量の向上に貢献しました。

換装したJ79に最適化されるよう各部を改修し、完成した機体がクフィルです。

1975年に量産と部隊配備が開始されてからも、いくつかの改良が重ねられました。

今回製作したクフィルC2(Cはカナードの意)も改良型の一つです。エアインテーク付近にカナード翼、機種にストレーキ、主翼にドッグトゥースを追加することで飛行性能、操縦性能の向上に成功しました。

イスラエル空軍では1980年代中頃からクフィルはF-16に置き換えられるようになります。1994年のイスラエル空軍第144飛行隊の機種更新(クフィルC7⇒F-16A/B)により退役となりました。

キットについて

前回に引き続き、クフィルの製作を進めます。

前回は基本塗装を終えた段階でクリアコートを吹き付け表面を保護しましたので、塗装の細かい修正とスミ入れから再開です。

スミ入れはタミヤエナメルのジャーマングレー(XF-63)を希釈したものを各部のモールドに流し込みました。

スミ入れ後の機体にデカールを貼り付けていきます。

説明書に貼り付け位置の指示があるものの、寸法や貼り付け位置がやや不正確なので、ある程度割り切って作業する必要があります。

注意書きがヘブライ語(?)になっている点がとても新鮮です。

デカールの馴染みはとても良く、表面の細かいモールドなどにもしっかりと追従してくれます。デカールを貼り付けていく傍ら、細かい修正や部分塗装を進めていきます。

付属する武装は増槽のほかにミサイルが2本のみ。形状からしてシャフリル2のようです。

パイロンにはミサイル取り付け用のピンがあるものの、シャフリル側にダボが無いため、ピンを切り飛ばして接着する必要があります。

各部品を取り付け、ツヤ消しでトップコートして完成です。

総評

部品点数が少ないので作りやすそうだなと思い手を出しましたが、思ったより手がかかりました。特にノーズギアのギアベーン、コクピットのグレアシールドのズレは難関です。

説明書のパネルラインが割と適当なのでデカールの一期目の基準点として使うには注意が必要です。

パッケージには”LEVEL3:10歳以上ならどなたでも簡単に組めます”的な記載があるのですが、個人的には難易度は高く感じました。

凹モールドとデカールの質が良いことがこのキットの見どころかと思います。

価格、入手性で言えば、ハセガワのクフィル(凸モールド)に軍配が上がります。モールドが気になる方はこのレベルの製品も選択肢に入れてもいいかもしれません。