【キットレビュー】HG ガンダムバルバトスルプス

今回、紹介するのはバンダイより発売されたHG 1/144スケール ガンダムバルバトスルプスです。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場した主役機、ガンダムバルバトスの改修型です。

ガンダムバルバトスルプスについて

本機を語る前に、まず前身となったガンダムバルバトスについて紹介する必要があります。

ガンダムバルバトスはかつて「厄災戦」と呼ばれた戦いで使用された72機のガンダム・フレームを採用したモビルスーツのうちの1機です。ガンダム・フレームを採用した機体の中でも汎用性に優れており、フレームやバックパックに装甲や兵装を追加・換装することで様々な環境下に適応できることが特徴です。

操縦には阿頼耶識システムと呼ばれる有機デバイスシステムを採用しており、パイロットの神経にシステムを直接接続することで、高い空間認識能力を与えると同時に高い反応性を実現しています。

火星にある民間警備会社”クリュセ・ガード・セキュリティ(=CGS)”にて地下動力源として使用されていた本機をCGS内の少年兵らで組織された鉄華団が蜂起した際、主人公である三日月・オーガスが起動させたことで鉄華団の中心戦力として運用されることになります。

CGSでの蜂起後、ガンダムバルバトスは幾多の戦闘を経て鉄華団の整備員では修復が困難なほど損傷を受けていました。

鉄華団の親組織であるテイワズの本拠地「歳星(さいせい)」にてオーバーホールに加えて、三日月の戦闘スタイルに合わせて再構築を施した際に、名前も狼を意味するラテン語”ルプス”を加えた”ガンダムバルバトススプス”と改められました。

改修に際して各部に曲線のある装甲を使用することで被弾時の衝撃の軽減と軽量化を図っています。同時に、機体の機動性を損なわない形状と重量を兼ね備えたソード・メイスを装備することで接近戦闘能力を向上させています。

キットについて

2016年10月に1000円(税抜)で発売されました。ランナー3枚構成のシンプルな内容ですが、特徴的なガンダム・フレームも簡易的に再現されています。組み立てやすいのでパチ組みならそれほど時間はかからないと思います。

関節部にはガンダムカラーの連邦系グレーを使用しているため、本来の彩色設定と異なり、ややメタリックな質感となっています。なお、踵の赤は塗り忘れています。

メカデザイナーは鷲尾直広氏。彼の作品らしい複雑な面構成が機体の各部に見られるほか、特徴である股下が長いデザインにより立ち姿が様になります。

番組放映は2015年ですが、2010年代はカウルの付いたバイクやスポーツカーでもCAD技術の発展により複雑な面を折り重ねるレイヤード・デザインが多く登場しました。同じ工業製品という観点でこうしたデザインが取り入れられるのも自然なことかなと思います。

肩部の装甲は引き出すことができ、可動範囲は良好です。肩の鉄華団マークは別パーツにて再現されています。肘も二重関節ではないものの、90度以上曲げることができます。

胴体部のシリンダーは設定にはありませんがアクセントで色を変えてみました。

武装はソードメイスが付属します。

付属のパーツで背部バックパックに取り付けることができます。

バックパックのサブアームは左右1本ずつ付属し、展開状態を差し替え式で再現可能です。

握り手は穴の開いたゲンコツタイプのものが、通常のものと角度を付けたものと左右2種類ずつ付属します。穴のない握り手や平手はないのはやや寂しいところ。また珍しく指先(というか爪?)は白色の設定ですがシールは付属しないため、再現には部分塗装が必要です。

特徴的な腰部のスラスターは丸い基部を挟み込む形で組み立てる構造になっており、合わせ目が目立つところにあります。また、青い部分はシールで再現する仕様ですが、パーツの一部を切り離して塗装後に組む、いわゆる後ハメ加工が難しい形をしており塗装派にとっては少し厄介なポイントです。丸い基部から伸びるピンを切り取り、ネオジム磁石をそれぞれのパーツに仕込むことにしました。

脚部は足首のロール軸周りに装甲がないため、かなり自由は効きます。足の大きさもそこそこあるため接地性も良いです。

総評

ネガティブなポイントは手のバリエーションが乏しいのと部分塗装が少々厄介なところにあること位で、シンプルなパーツ構成とリーズナブルな価格設定、破綻のないプロポーションと良好な可動域ととても良い出来のガンプラです。

鉄血のオルフェンスのガンプラにおけるシリーズ展開は、他のキットから色々な武装を流用して楽しむという事をコンセプトとしていると思いますので、作りやすいというのは重要なポイントですね。

初心者の方にもおすすめできるのはもちろんですが、塗装派の方も露出しているフレームを作り込んでみるのも面白いと思います。