【アイテム紹介】接着剤

今回は接着剤について紹介します。セメントとかプラセメントとか色々なメディアで色々な呼び方がされていますがこの記事ではすべて「接着剤」とします。
ほとんどのプラモデルは接着剤による組み立てを前提としています。キャラクターモデルは接着剤を使わずに組み立てることができるものが多いですが、より完成度を上げたいと思ったら、接着剤を使って合わせ目を消す工程が生まれます。
模型店や量販店、ネット通販で各社色々な接着剤を発売されています。上から使用頻度の高い順番に紹介していきますので、どれを買えばいいのかわからない方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

なお、合わせ目の消し方については以下の記事にて触れているので、そちらを参照してください。
参照記事:合わせ目の消し方

スチロール接着剤 / リモネン接着剤(使用頻度:高)

プラモデルの作成にてメインで使用する接着剤はスチロール接着剤です。これはプラモデルの素材、スチロール樹脂を溶かすことで接着させるものです。
メジャーどころですと、タミヤからタミヤセメントという商品で発売されてますね。40ml入りの白いフタの四角いビンのものと、20ml入りの黄色のフタの六角ビンの大小用意されています。GSIクレオスからはMr.セメントという名称で25ml,40mlの商品が展開されています。両社に品質に大きな差はありません。
40ml入りの場合、量が減っていくに連れ、揮発する量も増えます。フタ裏にハケがついてますが、量が減るとハケが溶剤に届かなくなるため、ビンを傾けてハケに溶剤を含む必要が出てきます。頻繁に使用しない方は小瓶タイプでも差し支えありません。
なお、揮発して劣化した接着剤は必要以上に粘度が高くなり、扱いにくくなってしまいます。応急処置として流し込み接着剤を注ぎ足すと、とりあえずは使用できますが、元々劣化しており品質も良くないため、またすぐに劣化します。劣化に気が付いた場合は買い換えたほうがいいでしょう。

このスチロール接着剤は流し込みタイプのものもあります。上記のものよりより、粘度が低くサラサラしています。名前の通り、プラモデルの貼り合わせたパーツの隙間に流し込んで使います。狭い部分へ液体が浸透しやすい毛細管現象を利用するため、少ない労力でパーツ全体に溶剤を行き渡らせることができます。接着面以外の表面をきれいに保ちたい場合は特に有効です。
流し込みは速乾タイプのものも出ており、スピード重視のモデラーに好まれて使われています。タミヤだと緑のフタで「タミヤセメント(流し込みタイプ)」、「タミヤセメント(流し込みタイプ)速乾」の名称で発売されてます。GSIクレオスでは「Mr.セメントS」、「Mr.セメントSP(スーパーパワー)」がそれぞれ流し込みとその速乾タイプになります。

スチロール接着剤は有機溶剤を含む性質上、刺激臭を伴い換気が必要です。仮にモデラー本人がなんとも思っていなくてもペットや家族、住宅など環境によっては使用に適さない場合もあります。
これに対し、リモネン接着剤はオレンジのような香りが特徴の接着剤です。これは柑橘類に含まれるプラスチックを溶かす性質を持つ成分であるD-リモネンを使用するため、安全性がスチロール接着剤より高いです。乾燥後の接着力は強いですが、弱点として乾燥に時間がかかります。おおよそ通常の接着剤の2,3倍ほど見積もると良いと思います。
タミヤやGSIクレオスからも発売されていますが、ガイアノーツの「りもちゃん」でリモネン接着剤の存在を知りました。オレンジの臭いがするので小さいお子様がいる場合、誤飲などの危険があるので逆に注意が必要かもしれません。

瞬間接着剤(使用頻度:中)

瞬間接着剤(以下、瞬着)は日用品でもよく用いられますが、プラモデルでも重要なアイテムです。
アンテナやエッチングパーツなどの金属素材を接着する際に使うほか、合わせ目を消したり隙間を埋めたりする際にも使われます。瞬着にはスチロール接着剤同様に流し込みタイプの物もあります。ノズルが付属するものは流し込みタイプですね。ハケ付きのものやスプレータイプのものもあり、バリエーションは豊富です。
時短につながりますが、衝撃に対して脆いため、食いつきが悪いと接着箇所が欠けたり剥がれたりします。また、周囲のパーツを白く曇らせる性質もあるため、扱いには慣れが必要な印象があります。
ガンプラなどのポリパーツの関節の保持力が弱くなった場合、瞬着をわずかにピンに付けてやることで保持力を復活させる方法もあります。

ABS接着剤(使用頻度:中)

ガンプラの合わせ目を消す際に普段よりも削りにくいと感じたら、それは材質が違うからかもしれません。ABS樹脂はスチロール樹脂よりしなやかで粘る性質を持つため、ガンプラの関節や艦船模型のマスト、戦車の履帯(いわゆるキャタピラ)など強度を必要とされる部分に使われています。
このABS樹脂にはスチロール接着剤は相性はあまりよくありません。リモネンタイプになるとまさに無力。プラモデルを作ると頻繁に関わる素材なので専用の接着剤を使うことをお勧めします。一つ買えばそうそう買い換えることはないと思います。タミヤからも出ていますが、セメダイン社の製品が個人的になじみがあります。

エポキシ系接着剤(使用頻度:低)

2つのチューブ状に分けられて発売されている接着剤がエポキシ系接着剤です。A剤とB剤を混ぜ合わせて接着剤にします。瞬着と並んでガレージキットに使われることが多く、異素材同士の接着に向いています。
塗装面を侵しにくいため、完成後のパーツ同士の接着に向いているほか、透明タイプは硬化後も透明なため、クリアパーツの接着に役立ちます。
接着剤がはみ出た部分はエナメル溶剤を含ませた綿棒があると拭き取りやすいです。

酢酸ビニール系接着剤(使用頻度:低)

なんのこっちゃと思われるかもしれませんが、いわゆる木工ボンドはこのタイプに類別されます。
紙や木材、発泡スチロールの接着で使用するため、プラモデルにはあまり縁がなさそうですが、水性ボンドを水で薄めてデカールのノリとして使う方法の他に、ジオラマを作る際は地形素材などの接着から水の表現まで主役級の働きをしてくれます。

今回は接着剤を紹介しましたが、この中には全く使う機会がないモデラーもいると思います。
まずはスチロール接着剤(またはリモネン接着剤)だけ買って、金属パーツやABSがプラモデルに含まれていたら適宜買い足していけば良いと思います。