今回ご紹介するのはMENGMODELより発売されている1/72 F-106A デルタダートになります。作例写真と実機を紹介しつつ、キットを作成した感想を述べていきます。
F-106 デルタダートとは
F-106A デルタダートはコンベア社が開発した世界初の実用デルタ翼戦闘機F-102 デルタダガーの発展型です。
アメリカが1950年代に開発した戦闘機群はその型式番号(F-100番台)からセンチュリーシリーズと呼ばれ、本機もその1つにあたります。1959年5月から長期間に渡り、アメリカ本土を爆撃機から守る迎撃戦闘飛行隊に配備されました。
迎撃任務に特化して開発され、速度重視の設計から高高度性能は良好で(反面、低高度性能は低い)、空気抵抗低減のために兵器はすべて機内のウェポンベイに収納されています。
基本武装は短射程ミサイルであるAIM-4 ファルコンを4発上記のウェポンベイへ装備しますが、このほかにも誘導装置のない空対空ロケット弾式核弾頭、AIR-2A ジニーを携行可能です。空対空核弾頭ロケットは現代の兵器では聞きなれない兵器ですが、これは爆撃機編隊への使用を想定し開発されたもので、当時はまだミサイルの信頼性が低かったため、核爆発の威力で命中率を補うという狙いがありました。
その後、シックスシューター計画により、ウェポンベイ内のAIR-2搭載用の装置を機関砲へ置き換える措置が取られた機種もありました。
ソフトウェア面でも当時としては洗練されており、地上からの操縦信号で飛行が可能悪天候でのレーダー誘導着陸などが可能だったほか、1960年代末期にはレーダーの探知を補佐する赤外線捜索追跡装置も追加されました。
F-106の防空任務は次第にF-15やF-16に引き継がれていき、役目を終えたF-106Aは実験機やQF-106として訓練用の標的機となりました。
キットについて
これまでセンチュリーシリーズは馴染みがあまりないため、作ったことがありませんでしたが、この機体はキャノピーの形が特徴的でずっと気になっていた機体でした。
このキットはMENG MODEL(メンではなく、”モン モデル”だそうです)という中国メーカーの製品で、GSIクレオスが輸入をしています。値段は税抜きで6,300円。通販や量販店価格では5,500円前後で発売されていて、1/72スケールとして高価な部類です。
製品の内容はとても豪華です。説明書がホチキス止めの小冊子になっていて日本語も記載されています。
末尾にカラーガイドがあり、ファレホのカラーコードが載っています。
キットの内容も充実していて凹モールドなのは勿論のこと、座席やコクピットなどは先行生産型と標準型の選択式だったり、機首周りのハッチやレーダーも再現されています。
エアブレーキやウェポンベイは開、閉状態のいずれかを選択して作ることになります。
ファルコンミサイル、ジニー、機関砲すべて付属するほか、ファルコンミサイルのコンテナやジニーのトレーラーも付属します。同梱のエッチングパーツでラダーやウェポンベイ内部に使用する隔壁など精巧に再現することができます。
組み立てにあたっては離型剤が強く残っているため、パーツ洗浄が必須であることとパーツ同士の組み合わせがイマイチな箇所があるため仮組みを丁寧にしてやる必要があります。個体差かもしれませんが、特にウェポンベイ周りはタイトな印象がありました。
塗装にあたってはハセガワのキットの塗装指示と本キットの塗装指示を見比べながらMr.カラーで塗装しています。
デカールの質は良好。3種類の所属を選択できます。大きなレターと国籍マークはいかにも当時の戦闘機らしいです。
尾翼が大きいため、デカールが映えますね。
総評
Amazonで何も確認せず購入したため、届いてから豪華な内容を見たときは驚きました。ウェポンベイやギアの組み立ては複雑で根気がいるため、ある程度慣れた人向けだと思います。少し手がかかる分、大柄な機体に施された精巧なモールドは完成後の見応え十分です。
これまでF-106Aはハセガワが大昔に出したキットしか選択肢がなかったので、心待ちにしていた人もいたのではないでしょうか。センチュリーシリーズのキットが新金型で発売される機会は稀なので、この出来を超えるF-106Aのキットはしばらく出ないと思います。