今回ご紹介するのはバンダイのガンプラ、HGFC シャイニングガンダムです。
シャイニングガンダムとはTVアニメ『機動武闘伝Gガンダム』に登場した、主人公ドモン・カッシュが物語の前半に搭乗するMF(=モビルファイター)です。
MFはモビルトレースシステムと呼ばれる操縦者の挙動を再現することができる機構を搭載しているため、操縦者は格闘技に秀でた者が乗り込むことが通例となっています。
機動武闘伝Gガンダムとは
物語の舞台はこれまでのガンダムにおける宇宙世紀と呼ばれる世界観とは異なる未来世紀(Future Century)になります。
物語のはじまりから遡ること60年前、人類は環境汚染の激しい地球を捨てて、宇宙へ進出して国家ごとにコロニーを建造、国家機能を移し未来世紀が始まりました。コロニー国家間の全面戦争を避けるため、この世界の主導権はガンダムと呼ばれる機動兵器による格闘技大会「ガンダムファイト」によって決まるよう定められています。
ガンダムファイトは4年に1度開催され、各国のコロニーが自国を代表する選手(=ガンダムファイター)をガンダムと共に地球に送り込むことになっています。
ガンダムファイトは開催は1年に渡り、予選となる11か月のバトルロイヤル(通称サバイバルイレブン)に生き残った者のみが決勝ラウンドに進むことができます。決勝ラウンドにて総合成績が優秀な者が最終決戦バトルロイヤルに進み、このバトルロイヤルに勝った国家が次のガンダムファイト開催までの4年間コロニー国家の代表となることができるのです。
そして未来世紀60年。第13回ガンダムファイトの開催に合わせて宇宙から各国代表のガンダムファイターが地球へ送り込まれるところから物語は始まります。
シャイニングガンダムについて
先述のガンダムファイトの第13回大会に向けてネオジャパンが開発したMFがシャイニングガンダムです。
頭部のバルカン砲と肩部のマシンキャノン、アームカバーに内蔵されたシャイニングショットなど射撃武器も搭載されていますが、基本は突き、蹴りなどの格闘が主体になります。
ちなみにバルカン砲はまったくのお飾りというわけではなく、相手との距離を詰める際や牽制によく使用されていました。
最大の特徴はパイロットの精神状態(=感情)に合わせて機体形状を変更させ段階的に機体能力を引き上げる機能を備えていることです。それぞれのモードは以下の通りです。
- ノーマルモード…通常時の状態です。
- バトルモード…戦闘形態ではバトルモードと呼ばれる状態になり、頭部のフェイスカバーが開き、腕のアームカバーが展開します。腕の挙動に合わせてアームカバーに内蔵されたスマッシュブースターが稼働するようになります。
- スーパーモード…バトルモードからさらに戦闘能力を引き上げた状態です。頭部のフィンが展開し強制冷却を行い、肩のショルダーカバーが展開しエネルギーフィールドを発生させ反応速度を上げます。また脚部レッグカバーが開き、挙動に応じて内蔵されたシュートブースターが稼働することで機動力が上昇します。足のつま先の伸長とアウトリガーの接地によってグリップ力も強化されます。
スーパーモードは戦闘能力を著しく上げる一方、コンピューターに大きな負荷がかかるため長時間の使用ができないことと、怒りの感情をトリガーとしており、感情に振り回され自身を制御できない状態に陥っていしまうという欠点があります。
格闘における必殺技の一つがシャイニングフィンガーです。
マニピュレーターを液体金属でコーティングし、エネルギーを放出させた状態でつかんだ物体を粉砕する技(いわゆるアイアンクロー)です。
ガンダムファイト国際条約の規定により頭部を破壊されたものは失格となるため、相手の頭部をめがけて放つこの技は非常に効果的と言えます。
また、相手の頭部を掴んだ際にハッキングを仕掛けることが可能になっており、ネオジャパンの秘密裏の使命であるデビルガンダムの手がかりを探すうえでも重要な技でした。
なお、この派生技としてエネルギーをビーム砲のように放射させることも可能です。
ほかにも左腰には大小二つからなるビームソードを装備しており、このビームソードにシャイニングフィンガーの全エネルギーを送り込むシャイニングフィンガーソードも本機の必殺技の一つです。
キットについて
HGFC シャイニングガンダムは2011年8月に1500円(税抜き)で発売されました。
ブランド名はGガンダムの世界観の年号に合わせHGFC(Future Century)名義ですが、HGUCに準拠した内容になっています。
旧キットの1/144スケールではスーパーモードの再現には「グレードアップセット 5体ガンダム強化パーツ」と呼ばれる別売りのパーツセットを購入する必要がありましたが、HGFCではノーマルモードとスーパーモードの2形態が再現可能となっています。バトルモードについては頭部を加工する必要があります。
頭部
特徴的なデザインと機構を持つ頭部。ノーマルモードとスーパーモードの両形態に応じて頭部を取り替えます。
マスターグレードのノーマルモード時の面構えはやや厚ぼったい印象でしたが、このHGFCでは精悍さが増したような気がします。
胴体・腰部
マシンキャノンが首に干渉することと腰と背部のコアランダーが干渉するため、横軸の動きは少し苦手な印象です。
腰部のビームソードは外れやすく、塗膜も剝がれやすいのでウィークポイントです。
肩部・腕部
肩のショルダーカバーと腕部のアームカバーは差し込み位置を変更することでノーマルモードとスーパーモード形態への変身を再現することができます。本機の金色の部分は肩のみシールで再現が可能です。
腕部のスマッシュブースターや脚部のシュートブースターはグレーの成型色です。
アニメではスーパーモード発動時のみ金色で、ノーマルモードではグレーなのでどちらの状態を優先するかで塗装が変わります。
アームカバーに覆われて目立たない腕部もモールドが施されています。
脚部
胴体の可動が狭い分、太もも上部にロール軸が設けられておりここで可動範囲を稼いでいます。
ふくらはぎのシュートブースターのカバーは外れやすいのと、開きやすいように後ろ側に出っ張りがあるので違和感を覚える方は削っても良いかもしれません(その分開きにくくなりますが)。
足のつま先の伸長やアウトリガーの接地ギミックは旧1/144キットでは再現されていなかったので、ここが再現できているのはポイントが高いです。
武装
本機は射撃武器は機体に内蔵されたもののみで手持ちの銃火器の類はありませんが、腰部にマウントされているビームソードとシャイニングフィンガーのエフェクトパーツとシャイニングフィンガーソードが付属します。
ビームソードの刃は柄の大きさに合わせて長さが大小用意されています。シャイニングフィンガーソードはアニメやゲームに登場するものと形状が異なりサイズも小ぶりで迫力に欠けるので残念なポイントです。
シャイニングフィンガーは通常サイズのものとパースを効かせた大きなサイズのものが付属します。
総評
ノーマルモード、スーパーモードともに破綻のない良好なプロポーションになっています。
部分塗装する場合、スーパーモード時に展開される各部の金色のパーツと随所に見られる黒いラインをフォローすると見栄えがよくなると思います。
可動範囲に関しては2020年現在の最新キットに比べると少し劣るものの、よく動くほうだと思います。ABS樹脂のランナーがないため塗装派のユーザーにとってもポイント高いですね。
好きな作品ですが、独特の演出や世界観から拒絶反応がある方もいらっしゃいます。また、放映から年月が経っているためアニメを未視聴の方もいると思います。そこで、ガンプラとは関係ないものの、TVアニメ作品の魅力についても次のページで述べたいと思います。